パソコン画面をiPhoneに表示するリモートデスクトップアプリの紹介【アプリレビュー】
iPhoneを購入してから、パソコンの使用頻度が減った方は多いのではないでしょうか。
しかし、いくらiPhoneで様々なことをできるようになっても、パソコンでないとできない作業はあります。例えば「パソコン用のソフトをiPhoneで使用したい」「パソコン用のゲームをiPhoneで遊びたい」「パソコンに保存している画像をiPhoneで見たい」と思ったことはありませんか?
今回はパソコンの画面をiPhoneに表示して操作できる、リモートデスクトップアプリをご紹介します。
アプリによってはiPadやAndroidにも対応している場合がありますが、当記事ではiPhoneで使用することを想定しています。
1.リモートデスクトップアプリとは?
リモートデスクトップアプリとは、パソコンやスマートフォンで他のパソコンをリモート操作するためのアプリのことです。リモートデスクトップアプリを使用することで、お風呂に入りながらiPhoneでリビングにあるパソコンを操作したり、外出先から自宅にあるパソコンのデータを送信したりすることができます。
パソコンとスマートフォンと言っても、WindowsやmacOS、iOSやAndroidなどOSだけでも様々な種類があり、アプリによってはWindowsでしか使えないといったことがあります。
また、会社のポリシーでリモート接続が許可されていないなど、環境によっては使用できないことをご留意ください。
それでは各アプリを順番にご紹介します。
2.Splashtop Personal for iPhone
「Splashtop Personal for iPhone」はSplashtop Inc.が提供している、パソコンに起動ツールをインストールして、専用アプリをインストールしているiPhoneと画面を共有するアプリです。
Splashtop Inc.からは様々な種類のリモートデスクトップアプリが提供されていますが、今回はその1つである個人利用向けのiPhone版です。
2-1.動作環境
デバイス | 条件 |
---|---|
パソコン | iPhoneと同じLAN(Wi-Fiネットワーク)に無線(Wi-Fi)で接続できること。 |
iPhone | パソコンと同じLAN(Wi-Fiネットワーク)に無線(Wi-Fi)で接続できること。 |
それでは使用する手順を順番に見ていきましょう。
※Windows 7とiPhone 6Sでの手順です。
2-2.パソコンで起動ツール(Splashtop Streamer)をダウンロードする
まずはパソコンで下記サイトにアクセスして「Splashtop Personal」の項目の右側にある「Windows XP, 7, 8, 10」のリンクをクリックして、分かりやすい所にダウンロードします。
2-3.パソコンに起動ツールをインストールする
ダウンロードできたら「Splashtop_Streamer_Win_INSTALLER_v~.exe」をクリックして実行します。
実行するとウィンドウが表示されるので、完了するまでしばらく待ちます。
2-4.Splashtopアカウントを作成する
インストールが完了すると新たなウィンドウが表示されるので「Splashtopアカウントを作成」をクリックします。
アカウントの作成画面になるので、メールとパスワードを入力して「アカウントの作成」をクリックします。
※使用するメールアドレスは作成済みの想定です。
メールアドレスの作成方法がわからない場合は、有料サポートの依頼をご検討ください。
Splashtopアカウントが作成されて、コンピューター名とSplashtopアカウントが表示されていれば、パソコン側の設定は完了です。
2-5.iPhoneにアプリをインストールする
ここからはiPhone側の操作です。
まずはApp Storeで「splashtop」を検索して「入手」をタップします。
すると「インストール」に切り替わるので続けてタップします。
インストールが完了したら、「開く」をタップするか、ホーム画面に追加されているアイコンをタップしてアプリを起動させます。
2-6.ログインと認証を行う
メールアドレスとパスワードを入力する画面になるので、入力して「ログイン」をタップします。
認証が必要というメッセージが表示されるので「OK」をタップして、Splashtopから届くメールを確認します。
ブラウザが起動して「デバイスは信頼できるデバイスとして正しく認証されました。」と表示されたら、Splashtopを使用する準備は完了です。
2-7.解像度を設定してリモート接続を開始する
アプリに戻るとコンピューター名が表示されています。
タップするとリモート接続が開始されます。
解像度の変更画面が表示されるので、自分の環境に合う解像度を設定して「完了」をタップします。
接続に成功すると、iPhoneにパソコンの画面が表示されます。
※下記画像はiPhoneを横向きにしています。
パソコンと同じようにマウスカーソルを表示させたい場合は、右下のアイコンをタップしてメニューを表示させます。
そしてマウスカーソルのアイコンをタップすると、ドラッグで移動、クリックアイコンのタップでクリックすることができます。
もしパソコン側のSplashtopのウィンドウが表示されなくなったら、タスクトレイを確認してみてください。Splashtopのアイコンをクリックするとウィンドウが表示されます。
以上が「Splashtop Personal for iPhone」を使用して画面を共有する手順です。
ここから別のアプリのご紹介です。
3.Chrome リモート デスクトップ
「Chrome リモート デスクトップ」はGoogle LLCが提供している、Google Chromeを使用して他のパソコンにアクセスできるアプリ(拡張機能)です。
Webブラウザの拡張機能を使用するという、他のリモートデスクトップアプリとは少し異なるアプリです。
3-1.動作環境
デバイス | 条件 |
---|---|
パソコン | Google Chromeをインストールしていること。 |
iPhone | iOS 7.0以降を搭載していること。 |
それでは使用する手順を順番に見ていきましょう。
※Windows 7とiPhone 6Sでの手順です。
※Google Chromeはインストール済みで、Googleアカウントも取得済みの想定です。
Googleアカウントの取得方法がわからない場合は、有料サポートの依頼をご検討ください。
3-2.パソコンのGoogle Chromeの拡張機能にアプリを追加する
まずはGoogle Chromeを起動させて、下記サイトにアクセスして「CHROMEに追加」をクリックします。
『「Chrome リモート デスクトップ」を追加しますか?』というメッセージが表示されるので「アプリを追加」をクリックします。
追加されると、アプリ一覧にアイコンが表示されます。
3-3.アプリにGoogleアカウントを紐づける
アイコンをクリックするとGoogleアカウントの選択画面になるので、自分のアカウントを選択します。
アカウントを選択すると「Chrome リモート デスクトップ」の画面のウィンドウが表示されるので「利用を開始」をクリックします。
表示が切り替わるので「リモート接続を有効にする」をクリックします。
3-4.PINの設定とアクセス許可を承認する
PINの入力を求められるので、6桁以上の任意の数字を入力して「OK」をクリックします。
するとリモート接続が有効になるのでもう一度「OK」をクリックします。
続いてアクセス許可の承認が必要なので「続行」をクリックします。
マイコンピュータの個所にコンピュータ名が表示されれば、パソコン側の設定は完了です。
3-5.iPhoneにアプリをインストールする
ここからはiPhone側の操作です。
まずはApp Storeで「chrome remote desktop」を検索して「入手」をタップします。
すると「インストール」に切り替わるので続けてタップします。
インストールが完了したら、「開く」をタップするか、ホーム画面に追加されているアイコンをタップしてアプリを起動させます。
3-6.アプリにGoogleアカウントを紐づける
アプリの初回起動時は、Googleアカウントへのログインが必要なので「ログイン」をタップします。
パソコンに設定したのと同じGoogleアカウントを選択します。
すると、リモートアクセスを許可しているパソコンのコンピュータ名が表示されるのでタップします。
3-7.PINの入力
PINの入力を求められるので、パソコンで設定した数字を入力します。
接続に成功すると、iPhoneにパソコンの画面が表示されます。
※下記画像はiPhoneを横向きにしています。
マウスカーソルを動かしたい場合は、右上に表示されているマウスのアイコンをタップします。
マウスカーソルが表示されれば、タップ2回でダブルクリックになるなど、マウスとほぼ同じ操作をできるようになります。
以上が「Chrome リモート デスクトップ」を使用して画面を共有する手順です。
4.番外編
ここまでは、パソコンの画面をiPhoneに表示させるアプリをご紹介しましたが、今流行りのゲーム実況動画を撮影するために、逆にiPhoneの画面をパソコンに表示させたい場合もあると思います。
そんな時に便利なアプリをご紹介します。
4-1.iPhone/iPad録画究極
「iPhone/iPad録画究極」はAPOWERSOFT株式会社が提供している、パソコンに起動ツールをインストールして、AirPlayでiPhone/iPadの画面を共有・録画する(Windows)アプリです。
iOS 11からiPhoneだけで録画する機能が搭載されましたが、iOS 11以前のOSを搭載しているiPhoneや、動画ファイルを直接パソコンに保存したい場合はこのアプリが便利です。
4-1-1.動作環境
デバイス | 条件 |
---|---|
パソコン | iPhoneと同じLAN(Wi-Fiネットワーク)に無線(Wi-Fi)で接続できること。 |
iPhone | iPhone 4S以降で、パソコンと同じLAN(Wi-Fiネットワーク)に無線(Wi-Fi)で接続できること。 |
無線(Wi-Fi)で接続できない場合は、有料サポートの利用をご検討ください。
それでは使用する手順を順番に見ていきましょう。
※Windows 7とiPhone 6Sでの手順です。
4-1-2.パソコンで起動ツールをダウンロードする
まずはパソコンで下記サイトにアクセスして「オンライン版を起動」ボタンをクリックします。
起動中と表示されて、しばらくすると「起動ツールをダウンロード」ボタンが表示されるのでクリックします。
ウィンドウが表示されるので、わかりやすい場所に保存します。
4-1-3.パソコンで起動ツールをインストールする
ダウンロードが完了したら「apowersoft-online-launcher.exe」をダブルクリックして実行します。セキュリティの警告が表示された場合は「実行」をクリックします。
4-1-4. パソコンのブラウザでアプリケーションを起動させる
インストールが完了したら、Webサイトに戻って「オンライン版を起動」ボタンをクリックします。
しばらくするとウィンドウが表示されます。
表示されたらパソコン側の操作は完了です。
4-1-5.iPhoneでAirPlayミラーリングをオンにする
ここからはiPhone側の操作です。
コントロールパネルを表示させて「AirPlayミラーリング」をタップします。
「AirPlayミラーリング」をタップすると「Apowersoft[PC名]」が表示されるのでタップします。
ミラーリングが成功すると「AirPlayミラーリング」と表示されていたボタンが「Apowersoft[PC名]」になります。
ここまでできたらパソコンの画面を確認してください。
iPhoneと同じ画面が表示されているはずです。
以上が「iPhone/iPad録画究極」を使用して画面を共有する手順です。
もしiPhoneの画面を録画したり画像として保存したい場合は、パソコンに表示されているウィンドウにマウスカーソルを合わせてみてください。
このようなアイコンが表示されます。
左から録画ボタン、キャプチャボタン、保存先フォルダを開くボタン、電源ボタンです。
「iPhone/iPad録画究極」は、他のアプリと併用しなくても画面の共有と録画ができるので、iPhoneの画面を録画するのに大変便利です。動画ファイルは、YouTubeにアップロードできるファイル形式の一つであるMP4で保存されます。
※ゲームのプレイ動画をYouTubeなどの動画サイトにアップロードする場合は、利用規約で許可されていることを確認してください。
5.各アプリのレビュー
5-1.Splashtop Personal for iPhone
家の中だけでリモート接続して、ゲームなどの少し動きが多い作業をしたい人向け!
料金 | 個人利用かつ同じLAN(Wi-Fiネットワーク)内だけの場合は無料です。 |
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設定 | 「Chrome リモート デスクトップ」と比べると、簡単な操作で設定することができます。詳細設定を利用すれば、追加認証でパスワード入力を必須にできます。 |
コメント | 商用利用と、LAN(Wi-Fiネットワーク)外からのリモート接続には月額料金がかかります。しかしLAN(Wi-Fiネットワーク)内だけであれば無料で、高機能な上に動作が軽快で使いやすいアプリです。様々な用途に使用でき、ゲームでもFPSのような速い応答速度(ping値)が求められるような内容でなければ、ストレスを感じずに使用できるでしょう。 |
5-2.Chrome リモート デスクトップ
家の外でもリモート接続して、データの閲覧などの動きが少ない作業をしたい人向け!
料金 | 無料です。 |
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設定 | Google Chromeを使用していて、かつGoogleアカウントを取得していることが前提なので、リモート接続を開始できるようにするまでの手順が少し多いです。 初期設定が完了すれば簡単に接続することができます。 |
コメント | Google Chromeの拡張機能なので、普段Google Chromeを使用している人には導入しやすく、おすすめのアプリです。データの閲覧が主な用途になると思いますが、ゲームでも動作の少ないブラウザベースであれば、あまりストレスを感じずに使用できるでしょう。 ただしLAN(Wi-Fiネットワーク)外からでもリモート接続できるため、設定には注意が必要です。 |
5-3.iPhone/iPad録画究極
iPhoneの画面をパソコンに表示して録画したい人向け!
料金 | 無料です。 |
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設定 | 細かい設定はできませんが、iPhone側では専用アプリをインストールする必要がなく、AirPlayをオンにするだけなので簡単です。 |
コメント | リモートデスクトップアプリではありませんが、無料でiPhoneの画面を録画までできるので、iPhoneゲームのプレイ動画や実況動画を撮影したい方や、iPhoneの操作を動画で人に教えたい方などにおすすめです。 |
今回ご紹介したリモートデスクトップアプリが自分の環境に合わない場合は、App Storeなどで探してみてください。きっと条件に合う、素敵なリモートデスクトップアプリが見つかると思います。
iPhoneをパソコンに表示する際のトラブルサポートはこちら。
6.これまでの内容についてのFAQ
- パソコンに画面は表示されるけど音が聞こえないのですが?
- 「iPhone/iPad録画究極」の場合は、パソコンとiPhone両方の音量がミュートになっていないかを確認してください。iPhoneがサイレントモードになっていることも考えられます。
「Chrome リモート デスクトップ」の場合は、iPhoneへの音声出力に対応していないので、音を聞くことができません。
- セキュリティの警告表示で「実行」をクリックしても実行できないのですが?
- パソコンの管理者によって管理されていて、インストールを制限されていることが考えられます。リモートデスクトップアプリを使用したい旨を管理者にご相談ください。
- 「iPhone/iPad録画究極」でiPhoneの画面を操作できないのですが?
- iPhoneのリモート操作には対応していないので、パソコンからiPhoneを操作することはできません。
通信データ量の上限を超えそうなのですが? - リモート操作時に、通信内容によっては大量のデータ転送が発生するので、無線LAN(Wi-Fi)接続で使用することをおすすめします。
- アプリをダウンロードする際に使用するApple IDがないのですが?
- Apple IDを新規作成する必要があります。
作成方法がわからない場合は、Apple社のサイトで確認するか有料サポートサービスをご利用ください。
通信データ量の上限を超えないように注意しましょう
今回は、パソコンの画面をiPhoneに表示して操作するためのリモートデスクトップアプリをご紹介しました。
リモートデスクトップアプリを使いこなすことができれば、iPhoneで様々なことを実現させられると思います。
ただし、4G(LTE)回線を使用して長時間リモート接続をすると、通信データ量の上限を超えてしまって、通信速度を制限される場合があるのでご注意ください。
もし設定が上手くできない場合は、PCホスピタルで有料のサポートサービスを提供していますので、ぜひご利用ください。
濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得