インクは顔料、染料?コストや機能は?家庭用プリンターの選び方
写真や年賀状を印刷するための家庭用プリンターは、多くの家庭で愛用されています。
プリンターには、用紙にインクを吹きつけて印刷する「インクジェットプリンター」と、トナーを付着させて印刷する「レーザープリンター」の2種類があります。家庭でよく利用されているのはインクジェットプリンターです。
さらに、インクジェットプリンターには「染料インク搭載」と「顔料インク搭載」の2種類があります。プリンター購入の際、どちらのインクを選ぶかで迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、インクジェットプリンターで使われている2種類のインクの違い、インクジェットプリンターのコストや機能についてご紹介します。
1.染料インクと顔料インク
染料インクは、インクの粒子がとても細かいことが特徴です。細かい粒子がインクの溶液に溶けきっているため、インクが紙の内部まで浸透します。発色が良く鮮やかな色合いに仕上がることから、写真の印刷などに向いています。
1-1.紙に浸透する染料インク
写真を印刷するときは「光沢紙」を使用すると良いでしょう。紙にしみこみやすい染料インクは、光沢紙の性質を十分に生かすことができます。染料インクは紙の表面に残らないため、印刷面がなめらかになり、用紙の持っている光沢感を損なうことがありません。印刷スピードが速いのも染料インクのメリットです。
さらに、染料インクは顔料インクに比べて値段が安いというメリットもあります。写真を大量に印刷したいときは、染料インクを利用したプリンターの方がコストパフォーマンスは良いといえるでしょう。
染料インクのデメリットは、インクが乾くまでの時間が長いことです。スピーディーな印刷が可能である反面、プリントした色が定着するまでに時間がかかります。印刷した用紙をすぐに重ねられないため、大量の写真を印刷する場合は、乾かす場所を確保しなければなりません。
また、プリント直後としっかり乾かした後では、発色の度合いが異なります。染料インクの持ち味である発色の良さを十分に発揮するためには、印刷後にしっかり乾燥させることが大事です。
それから、水や光に弱い点も染料インクのデメリットです。印刷した部分が水に濡れると色がにじんでしまうため、染料インクを使った印刷物は水に濡らさないようにしましょう。光に当たると色あせしてしまうので、屋外に飾るなどの用途には向きません。染料インクは空気にも弱いため、長い時間出しっぱなしにしておかないようにしてください。
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1-2.紙の表面にとどまる顔料インク
顔料インクの粒子は染料インクに比べて大きいという特徴があり、インクの粒子はインク溶液に完全には溶けきっていません。インクの粒子は紙の内部まで浸透せず、紙の表面にとどまっている状態です。インクを用紙表面に載せるようにして印刷すると思えば良いでしょう。
用紙の表面にインクが定着する顔料インクで印刷すると、線や色をくっきりと表すことができます。染料インクで普通紙に印刷した場合、インクが紙に浸透するため色の境目がにじんでしまうことがありますが、顔料インクは紙の表面に付着するだけですので、普通紙でも色がくっきり印刷できます。そのため、顔料インクは文字、グラフ、図などが入ったビジネス文書などの印刷に適しているといえるでしょう。
インクが紙にしみこまない顔料インクの性質は、普通紙以外の用紙に印刷する際も重宝します。例えば、用紙表面につや消しのコーティングが施されているマット紙などにもきれいに印刷できます。乾くのが早いという性質を持ち、染料インクを使用したときと比べると、短時間で乾燥させることができます。
また、写真などを印刷したときに、印刷用紙が丸まってしまった経験はないでしょうか。これは、用紙が染料インクを十分に吸い込むことで起こる現象です。しかし、顔料インクであれば紙の表面にインクがとどまるので、印刷用紙が丸まってしまうことはありません。
さらに、インクを用紙表面に付着させているので、こすれたときに色落ちすることがあることもデメリットの1つです。紙の表面に凹凸が生じてムラができてしまうため、顔料インクは光沢紙の印刷にはあまり向いていないといえるでしょう。
また、顔料インクは粒子が大きいため、プリンターのノズルの詰まりが起きやすくなります。値段が高いことから、印刷枚数の多い方にとってはコストパフォーマンスが悪いと感じるかもしれません。
インクの本数が少ないと画質や再現性が低下してしまうことは顔料インクのデメリットですが、セミプロ向けのプリンターの中には、顔料インクの搭載本数が多いモデルもあります。再現度の高い印刷結果を得られるだけではなく、耐光性もあるので展示会用の写真印刷にも向いています。また、顔料インクは速乾性があるので、印刷してすぐに色味の確認ができます。テストプリントをする場合などにも、時間が短縮できるため重宝するでしょう。
1-3.用途に合わせてどのインクのプリンターにするか決めよう
基本的には、染料インクは写真印刷、顔料インクは文書印刷に向いているといえます。ただし、展示会に出すような写真をくっきりと立体的に印刷したい場合は、インクの本数の多い顔料インク搭載プリンターを選ぶと良いでしょう。
文書も写真もくっきり印刷させたいというニーズに応えるため、カラーインクには染料インク、黒インクには顔料インクを採用するなど、両方のインクを組み合わせて搭載しているモデルもあります。
2.インクジェットプリンターのコストと機能
プリンターは、プリントのみできる単機能タイプとプリント・コピー・スキャンができる複合機タイプの2種類、さらに性能によってエントリーモデル、スタンダードモデル、ハイスペックモデルに分かれます。多機能で高性能なプリンターほど価格は高くなります。
最近はメーカーが複合機タイプのラインアップを充実させる傾向にありますが、目的がプリントのみであれば、単機能タイプを購入しても良いでしょう。エントリーモデルのプリント専用プリンターの中には、約3,000円で販売されているものもあります。
なお、複合機タイプのプリンターには、以下のような便利な機能を持った製品があります。
2-1.【1】無線LAN機能
プリンターを無線LAN接続で使うときは、基本的にはプリンターが無線LANに対応していることが必須です。LANポートが装備されていないノートPCやタブレットをお持ちの方は、無線LAN対応機能を持っているか確認してください。
無線LANルーターを利用せず、モバイル端末をプリンターに直接Wi-Fi接続して使うことができるプリンターもあります。
2-2.【2】タッチパネル機能
タッチパネルをタッチして印刷できる機能が、タッチパネル機能です。PCを介さずにプリンターの操作だけで印刷できるので便利です。操作が分からないときはタッチパネルでヘルプメニューを呼び出したり、写真データをタッチパネルに表示させたりできます。
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家庭用プリンターといっても、染料インクを使っているか顔料インクを使っているかで印刷の仕上がりが変わってきます。それぞれのインクの特長を考えてプリンターを選びましょう。
また、目的や求める性能を見極めた上で購入することをおすすめします。
PCホスピタルでは、プリンターをはじめとする周辺機器の設定なども承ります。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得