液晶との違いは?テレビやスマホにも使われる有機ELディスプレイとは

液晶との違いは?テレビやスマホにも使われる有機ELディスプレイとは

最近のディスプレイは液晶が主流でしたが、2015年にApple社が新型iPhoneへの有機ELの採用を発表してから、にわかに有機ELディスプレイへの関心が高まり始めました。今後のディスプレイ業界では有機ELが主流となることを見据え、国内外のメーカーがこぞって有機ELディスプレイの開発にいそしんでいます。

それでは、有機ELディスプレイとはどのような特徴を持っており、液晶ディスプレイと比べてどのような違いがあるのでしょうか?今回は有機ELディスプレイについてご紹介します。

有機ELディスプレイの特徴

有機ELディスプレイの特徴

有機ELディスプレイは、次世代のテレビやスマホに使用されるディスプレイとして近年注目されています。その特徴をいくつか挙げてみましょう。

ディスプレイ自体が光る

液晶ディスプレイの場合は、液晶自体が光るのではなく、バックライトが光ることによって映像を映し出しますが、有機ELはディスプレイ自体が光ることで映像を映すことができます。

応答速度が速い

ディスプレイ自身が光って映像を映し出すことのメリットの1つに、応答速度が速くなることが挙げられます。有機ELディスプレイは、電圧をかけるとその瞬間に発光します。光の輝度も、電圧を調整した瞬間に変化させることができ、ほんの一瞬で映像の切り替えを行うことができるのです。これは、バックライトの補助を必要とする液晶ディスプレイではまねのできないスピードでしょう。

液晶の場合は、電圧をかけてから映像が変化するまでに時間がかかるため、動きの速い映像の場合は画像がぶれてしまいます。有機ELディスプレイであれば、スポーツやゲームなどの高速で動く映像であっても、なめらかで美しい映像を映し出すことができるのです。

ディスプレイを薄くできる

有機ELディスプレイはバックライトを必要とせず、有機分子膜を電極で挟んだだけという非常にシンプルな構造のため、その分ディスプレイを薄くすることが可能です。

すでに発売されている有機ELディスプレイには、厚さ5㎜程度というものもあります。これほど薄いディスプレイが出てくると、テレビを額縁のように壁にかけて使用するようになるのも、遠い未来の話ではないかもしれません。

有機ELディスプレイはこれまでにない薄さを実現できるため、ディスプレイを曲げることも可能だといわれており、これまでの常識を超えたディスプレイの形を提案してくれそうです。

省エネにつながる

バックライトなどの光源が必要ない有機ELディスプレイは、構造的に消費電力を抑えることができます。有機EL自身を発光させるための電圧も、数ボルト程度と低い電圧で十分対応でき、理論上では、液晶テレビに必要な消費電力の10%程度で済む計算です。

有機ELの発光効率の改善は現在まさに進められている段階で、現時点ではまだ発光効率が十分に良いとはいえませんが、それでも液晶ディスプレイに比べれば省エネを実現できています。例えば、スマホ用の小型有機ELディスプレイは、現段階で液晶に比べて3割程度少ない電力で対応できるようになっています。

今後技術が発展するにつれて、さらなる省エネを実現できるようになっていくでしょう。

視野角が広い

液晶テレビを見ているときに、画面が見えにくいと思ったことはありませんか?

その原因の1つに、液晶ディスプレイを見る角度によって色調が変わることが挙げられます。現在は、液晶テレビの視野角もずいぶんと改善されてきましたが、それでも有機ELディスプレイと比較するとどうしても劣ってしまうのが現状です。

有機ELの視野角は180度といわれており、極端にいえば真横からでも美しい画像を楽しむことができます。有機ELディスプレイなら、複数人でテレビを見るときに、端から見る人は画面が見づらくなるということも起こらなくなるでしょう。

美しいコントラスト

ディスプレイで高いコントラストを実現するためには、黒の再現度がポイントになります。液晶ディスプレイはバックライトが常時点灯しているため、光を完全にさえぎることはできません。つまり、液晶ディスプレイで黒を表現しようとしても、多少の光が入ってしまうために完全な黒にはならないのです。

一方、有機ELディスプレイであれば、バックライトの影響は受けません。黒は完全な黒に一層近くなり、非常に高いコントラストで映像を表現できるのです。結果として、海などの自然を写した映像や、光が反射する具合などが目で見るのとほとんど変わらないような発色で再現できるようになります。

液晶テレビのコントラスト比は、一般的なもので500:1程度ですが、有機ELディスプレイでは1,000,000:1ものコントラスト比を実現しているのです。

有機ELディスプレイの課題

有機ELディスプレイの課題

性能的には液晶ディスプレイに比べて多くのメリットがある有機ELディスプレイですが、開発が進められている最中でもあり、いくつかの課題も残っています。

価格

まずは、価格が高いということです。有機ELディスプレイの販売はつい最近始まったばかりのため、本格的な大量生産にはいたっていません。大量に生産して製造コストを下げていくためには、世間に広く有機ELが普及するのを待つ必要があります。

構造的に有機ELディスプレイは非常にシンプルなため、基本的な製造コストは抑えられるはずです。市場に有機ELディスプレイが広まっていくにつれて、その価格も徐々に下がっていくでしょう。

寿命

また、ディスプレイ自体の寿命が液晶に比べて短いという点も指摘されています。バックライトが点灯する液晶と違って有機EL自体が発光するため、その分寿命も短くなるのです。一般的に液晶テレビは60,000時間、プラズマテレビでは100,000時間使用可能といわれていますが、有機ELディスプレイの寿命は長くて30,000時間程度です。

数字だけを比べて見ると確かに寿命が短いように感じますが、30,000時間とは、10年以上毎日8時間使用できる計算のため、現実的には大きな影響はありません。通常のディスプレイの買い替えはもっと頻繁に行うことになるでしょうから、有機ELディスプレイを寿命まで使い切るということは考えづらいでしょう。

サイズ

大型ディスプレイを作るための、技術的な問題がクリアされていないため、有機ELで作ることのできるディスプレイのサイズは、現在では20インチが限界だといわれています。

現在の有機ELに使われている有機物は低分子タイプと呼ばれるものですが、大型ディスプレイを実現できそうな高分子タイプの実用化にはまだ至っていません。開発が進んで高分子タイプの有機物を有機ELディスプレイに利用できるようになれば、有機ELの大型ディスプレイの登場も期待できます。

パソコンの液晶トラブルの修理、お任せください

次世代ディスプレイといわれる有機ELディスプレイは、すでにテレビやスマホに搭載され始めており、今後も利用の拡大が見込まれるディスプレイです。画像が映し出される速度が速いことや薄いディスプレイ、省エネやまるで目で見ているかのような美しいコントラストなど多くのメリットがある有機ELディスプレイですが、低価格化や大型ディスプレイへの応用は今後の技術発展を待ちたいところです。

現段階の技術でもスマホやゲーム機、テレビなどではそのメリットを十分生かせているため、興味のある方はぜひ使用を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修

家喜 信行日本PCサービス株式会社 代表取締役社長 兼 グループCEO、NPO法人 IT整備士協会 理事長
2003年、日本PCサービス株式会社を創業し、パソコン修理など、パソコンのフィールドサポート事業を開始。パソコンの緊急トラブル解決を主軸としたサービス「PCホスピタル」を展開するなど、20年以上に渡り業界で活躍し、同社をデジタル機器有料訪問サポート利用率No.1企業へと導く。近年はデジタル機器の普及とともにスマホ・iPhone修理の「スマホスピタル」をグループ会社化、デジタル機器の正しい知識の普及のために資格認定や中小企業の社内IT整備士育成プログラムなどを展開するNPO法人「IT整備士協会」の理事長に就任。

経歴
日本PCサービス株式会社 代表取締役社長
特定非営利活動法人 IT整備士協会 理事長

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