BIOSの起動方法やよく使う機能の詳細を解説
PCにあまり詳しくない方は聞いたことがないかもしれませんが、パソコンには「BIOS」と呼ばれる重要なプログラムがあります。
BIOSは、OSの起動や、PCと接続機器間の入出力を制御するプログラムです。BIOSの起動画面は青い背景に英語表記という特徴的な画面になっている場合が多いので、BIOSと認識していなくても、「この画面なら見たことがある」という方もいるでしょう。このプログラムを起動して誤った設定にしてしまうと、PCが起動しなくなったり、周辺機器が認識されなくなったりする恐れもあるため、通常は設定を変更する必要はありません。
しかし、このBIOSというプログラムについてある程度知っておくと、PCに何らかの不調があったときに、PCに使われている各種パーツに異常がないか調べることや、PCのシステム情報などを確認することもできます。
そこで今回は、BIOSの基礎知識や設定画面の起動方法などをご紹介します。
BIOSとは
BIOSとは、「Basic Input/Output System」の略称で、PCの根幹となるプログラムのことです。
PCのマザーボード(主基板)に実装された不揮発性メモリ(PCの電源を切っても記憶を保持できるメモリ)に組み込まれていて、PCの電源を入れたときに最初に起動されるプログラムです。OS(WindowsやmacOSなど)のようにハードディスクに格納されているプログラムではありません。
パソコン内のフラッシュメモリーやROMに設定が記録されています。
起動されたBIOSは、PCに接続しているキーボード、マウス、ハードディスク、ビデオカードなどの周辺機器や組み込まれているパーツなどのハードウェアをチェックして使用できる状態に準備した後、ハードディスクなどの外部記憶装置からOSを起動するプログラムを実行します。なお、BIOSはカスタマイズすることも可能です。
下記の流れでパソコンは動作します。
パソコンが動作する流れ |
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BIOSと似たものでデバイスドライバーがあります。パソコンに接続している機器などハードウェアを動かすためのものですが、BIOSと役割の違いを説明すると、BIOSはパソコンの電源を入れて最初に作動しますが、デバイスドライバーはOSが立ち上がってから作動します。BIOSが動かした機器はOS立ち上げ後、 デバイスドライバーが役割を担うことになります。
起動順位の変更やメモリーの増設の際に使用することもあるので、パソコンを使用するうえでBIOSの知識があると、いざという時に便利です。
BIOSトラブルの症状別ご依頼割合
2023年5月1日から2023年10月31日までの間にPCホスピタルにサポートをご依頼いただきました、BIOSトラブルの各症状割合をグラフにしたのが下記になります。
BIOSトラブルの症状別ご依頼割合
BIOSトラブルの場合、このように詳細な症状は様々になっています。
次の項目からはBIOSの種類をご説明いたします。
BIOSの種類
現在、主に使用されているBIOSには「Phoenix Award BIOS」「AMI BIOS」「Intel Visual BIOS」「UEFI」の4種類があります。
Phoenix Award BIOS
Award Software InternationalというアメリカのBIOSメーカーが、同じくアメリカのBIOSメーカーであるPhoenix Technologiesに吸収合併されたことで誕生したBIOSです。単に「Award BIOS」といわれる場合もあります。Phoenix Award BIOSとPhoenix BIOS、2タイプのBIOSが流通しています。
トップメニューの項目が細分化されていて階層が浅いのが特徴です。電圧や動作クロックなどオーバークロックに関連する項目はサブメニューの中でメーカー毎につけられた名前が表示されることが多いです。
AMI BIOS
アメリカのAmerican Megatrends, Inc.というBIOSメーカーが開発したBIOSです。多くのPCメーカーでは、AMI BIOSを独自にカスタマイズしたものが採用されています。Phoenix(Award)系のBIOSに比べて、BIOS内のメニュー項目が細かく階層化されていることが特徴です。
Phoenix(Award)系のBIOSでいうところのトップメニューが無く、BIOSの起動後はMainのメニュー画面が表示されます。左右キーで項目を移動しようとするとメニューを移動することになるので操作の際は注意が必要です。
Intel Visual BIOS
インテル製のマザーボードに搭載されているBIOSです。従来のBIOSは基本的にキーボードで操作するように設計されていますが、このBIOSはマウス操作が可能で、グラフィカルで直感的に分かりやすいインターフェイスになっていることが大きな特徴です。
Windowsのアプリケーションと同じような画面と機能をそなえ、システムの状態確認や設定変更なども従来のBIOSと比べるとかなり操作しやすくなっています。BIOSの画面からマザーボードの設定をするのは初めてという方でも使いやすいBIOSです。
UEFI
2022年現在、新しく発売されるパソコンにはUEFIという機能が積極的に採用されています。 UEFIとはUnified Extensible Firmware Interfaceの略でBIOSを後継する機能として普及しています。
UEFIに対して、従来のBIOSはレガシーBIOSとも呼ばれますが、両方を比較した場合、画面も見やすくなり様々な機能の追加もされているので、UEFIは最も進んでいるファームウェアといっても過言ではないです。※BIOSやUEFIなどパソコン起動時に最初に機器を制御するソフトウェアの総称をファームウェアと呼びます。
そのUEFIの特徴を紹介いたします。
2TB以上のHDDでOS起動が可能
BIOSでは使用するディスクの単一のパーティションの大きさが2TB以内に制限されていますが、UEFIは2TB以上のHDDでのOS起動が可能になっています。より大容量の記憶媒体が使用可能になります。
起動やシャットダウンが速い
GUIDパーティションテーブルを使用することで、大容量のディスクでも素早く検出と読み込みが可能になります。レガシーBIOSは16ビットで最大1MBのメモリーしかアクセスできませんが、UEFIは32ビットもしくは64ビットでレガシーBIOSより大きなメモリー空間にアクセスができるので、ブートのスピードも高速になります。
セキュリティ機能が追加
UEFIは問題なく機能を作動させるために、OSの起動前の検査や遠隔診断が行われます。BIOSよりも安心してパソコンを使用することができます。
修理対応 | 出張/持込/宅配(出張の当日サポートは予約枠が早く埋まるため、お急ぎの場合はなるべく早い時間にご依頼ください) |
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対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの設定サポートを当サイト掲載中 |
料金 | パソコン設定サポート 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
BIOS設定画面の起動方法
BIOS設定画面の起動方法は大きくわけて2つあります。PC起動時にファンクションキーを押す方法とPCの起動中に「設定」画面から行う方法です。それぞれ詳細をご説明いたします。
PC起動時にファンクションキーを押して起動
PCの電源を入れた際、最初にFull Screen Logo画面(マザーボードなどの機種名が表示される画面)やPOST画面(BIOSがPCの起動準備をしている画面)、PCメーカーロゴの画面などが表示されますが、画面が表示されている間にファンクションキーを押すことで、BIOS設定画面が起動します。多くの場合、5回~10回連打すると成功しやすいです。
下記がメーカー別のBIOSが起動するファンクションキー一覧です。
メーカー名一覧 | 押下するキー |
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NEC | F2キー |
東芝 | F12キー |
Lenovo | F12キー |
富士通 | F12キー |
Dell | F12キー |
Panasonic | F2キー |
SONY・VAIO | F2キー |
HP | F10キー |
ASUS | F8キー |
Acer | F2キー |
下記はマザーボードメーカー別のBIOSが起動するキーの一覧になります。
メーカー名一覧
押下するキー
MSI
Delete
Intel
F2
ASUS
Delete
ASROCK
F2
ESC
Delete
Giga-byte
Delete
キーを押すタイミングは、ほとんどのPCメーカーで前述の画面が表示されている間(起動直後)です。ただし、中には[Esc]キーを押しながらPCの電源を入れなければならない場合もありますので、PCの取扱説明書などをよく確認してから実行するようにしましょう。
また、Windows 10やWindows 11などを搭載する最近のタブレット型PCの場合は、音量調整ボタン「+」か「-」(型番や機種によって異なる)のいずれかと電源ボタンを同時押しでBIOSを起動させられるものもあります。
「設定」画面から起動する方法
PC起動中に「設定」画面からBIOSの設定画面に移行する方法もあるのでご紹介いたします。
BIOS起動手順 |
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画面の操作方法
BIOSの画面は基本的にキーボードだけで操作します。(一部のBIOSではマウスが動くものもありますが、マウスの動きが遅延したり、誤ってクリックしてしまうこともあるのでマウスはあまり使用されません。)
- 項目の移動(選択):カーソルキーの「↑」、「→」、「↓」、「←」、「Tab」
- 選択した項目を決定:「Enter」
- 数値の変更:「-」「+」
- 初期値に戻す:「F9」
- 終了する:「Esc」
- 保存してから終了する:「F10」
メニュー画面
メニュー画面はカテゴリにわけられていていてBIOSの種類によりますが、以下のような項目があります。BIOSの画面は英語表記であることがほとんどですが、日本語のメニューを実現している機種もあります。
- Main(System Info、CMOS):日時設定やメモリ情報など基本情報の表示や設定の初期化ができる。
- Advanced(Tools、Integrated):システムの詳細設定や接続に関するものの設定。
- Security:BIOSが無断で変更されないようにパスワードを設定できます。
- Boot:起動に関するメニューです。
- Exit:BIOS画面を終了します。
PCホスピタルにBIOSトラブルをサポートを依頼する場合はこちら。
BIOSでよく使う機能
BIOSは各PCメーカーがカスタマイズしているため、メーカーによって備えている機能や表示が異なります。ここでは基本的な機能のうち、よく使うものを取り上げます。
ドライブ起動順位の変更
BIOSの機能の中でも、特に使う機会が多いのが「ドライブの起動順位の変更」ではないでしょうか。
通常、PCは起動するとハードディスクにアクセスし、そこにあるOSのデータを読み込んでOSを起動させます。これは、BIOSによって最初に起動するドライブがハードディスクに設定されているからです。
PCに問題が生じてOSの再インストールをしなければならないときや、ハードディスク以外からOSを起動させたいときは、BIOSでドライブの起動順位を変更し、CD/DVDドライブから起動させたり、USB接続してあるデバイスから起動させたりすることができます。
ドライブの起動順位の変更方法はそれほど難しくありません。Phoenix BIOSの例を挙げると、以下のような手順になります。
1.BIOS設定画面を起動する
2.[←][→]キーを使って[Boot]まで移動する
3.起動順位を上げたいデバイスを[↑][↓]キーを使って選択し、[+]キーを押す
[+]キーを押すたびに順位が一つ上がります。ここでは、[CD-ROM Drive]の順位を上げました。- [F10]キーを押す。もしくは、[Exit]に移動して[Exit Saving Changes]を選択し、[Enter]キーを押す
使用されているBIOSによって操作方法は異なりますが、大体同じような操作で設定変更が可能です。
パスワード設定
BIOSには、OSのパスワードとは別にパスワードを設定する機能があります。BIOSで使える機能に制限をかけたり、BIOS起動時にパスワードを入力しなければならない設定にしたりすることが可能です。
個人でこのパスワードを設定している人は少ないと思いますが、会社のノートPCなど仕事でPCを持ち運ぶ場合などに、セキュリティ対策の一環として設定されることがあります。
BIOSのパスワードを設定する際の注意点は、パスワードを忘れないようにすることです。
万が一このパスワードを忘れてしまうと、BIOSが起動できず、PCがまったく使えない状態になります。
BIOSのパスワードは管理者パスワードとユーザーパスワードに分けられます。万が一ユーザーパスワードを忘れてしまっても、管理者パスワードを覚えていれば、管理者パスワードを削除することでユーザーパスワードも削除されます。しかし、管理者パスワードを忘れてしまうとBIOSを起動させることができず、修理に出さなければならなくなってしまうため注意してください。
ハードウェア診断
BIOSには、PCの各パーツや機能に問題が生じていないか検査する機能があり、「ハードウェア診断」などの名称がつけられています。この機能では、PCのメモリやハードディスク、バッテリーなどに異常がないか確認したり、PCのシステム情報を確認したりできます。PCに不具合が起きたときの原因特定にも役立ちます。
日本語表示
BIOSは基本的に英語表示ですが、一部の機種では日本語表示に設定することも可能です。メインメニューで[Language]を選択すると、英語表示から日本語表示に変更されます。日本語表示できる機種をお使いの方は、BIOSの表示を日本語に切り替えてからBIOSの設定をしても良いでしょう。
Tips
不要な設定変更はパソコン全体の動作に支障をきたします。使っていてどこを操作したかわからなくなった、あるいは誤った操作をした場合は「Ctrl+Alt+Delete」を押すことでBIOS画面を終了してパソコンを再起動することができます。
BIOSトラブルのサポートをプロに依頼するのも一つの対処法
前述の方法でBIOSが起動できない、もしくはBIOSは起動できたもののBIOSを使用してトラブルを改善できない場合、システムエラーや内部パーツの故障など様々な原因が組み合わさってることも考えられます。
システムの復元や内部パーツの故障でトラブルが改善するかもしれませんが、失敗すれば更に状態が悪化してしまうことも考えられます。また、ノートパソコンや一体型パソコンは分解の難易度が高く、知識が無ければ修復できない状態に陥る可能性があります。
BIOSの起動やBIOSを使用してトラブルを改善することが難しいとお考えの場合はパソコンやデータを守るためにも、プロのパソコン修理業者のPCホスピタルにご依頼いただくことをおすすめいたします。
BIOSのトラブルならPCホスピタルにお任せください
BIOSの設定は、基本的にはPC上級者向けの操作のため、PCに自信がない方は基本的に触らないで下さい。むやみやたらに起動させたり設定を変更したりすることは避けましょう。
しかし、BIOSの基本的な機能や起動方法の知識を知っておくと、いざというときにPCの故障診断やハードディスクドライブの起動順位の変更などを行うことができて便利です。パソコンユーザーにとって知っていて損のない知識ですので、この機会にBIOSについてぜひ学んでみてはいかがでしょうか。
BIOSの設定や変更方法を間違えるとOSが起動しなくなったり、様々な不具合の原因にもなります。自作パソコンのBIOSの設定、既存の使用パソコンのBIOSの設定変更などでお困りの際はぜひPCホスピタルにご依頼ください。
修理対応 | 出張/持込/宅配(出張の当日サポートは予約枠が早く埋まるため、お急ぎの場合はなるべく早い時間にご依頼ください) |
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対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの設定サポートを当サイト掲載中 |
料金 | パソコン設定サポート 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得