タフネススマホとは?防水や防塵、耐衝撃など、スマホの耐久性能について

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どんなに気をつけていても、スマホのアクシデントは誰にでも起こりうるものです。
うっかりスマホを落としてしまい、ディスプレイが割れてしまった、誤って水中にスマホを落としてしまい、水没してしまったなどのアクシデントも少なくないと思います。衝撃や水没のアクシデントによって大切なデータを失ってしまい、悔しい思いをしたという方もいるでしょう。
本来スマホは精密機械で、衝撃や水、砂ボコリや塵などにあまり強くないため、慎重に取り扱わなくてはなりません。しかし、お風呂場でスマホを使用したい方や仕事柄過酷な環境下でスマホを使用する必要がある方、釣り・登山・スキー・サーフィンなどのアウトドアが趣味で、自然の中でスマホを使用する機会が多い方もいると思います。このような方達におすすめしたいのが、防水や防塵、耐衝撃に優れたスマホ、いわゆるタフネススマホです。
今回は、このタフネススマホやスマホの耐久性能についてご紹介します。
タフネススマホとは
タフネススマホとは、通常のスマホと異なり、過酷な環境下でも動作可能なスマホのことです。「この条件を満たしていればタフネススマホだ」という明確な基準はありませんが、多くの場合、防水機能、防塵機能、耐衝撃性能を兼ね備えています。この3つに加えて、温度耐久や耐氷結、防湿、耐振動など、さまざまな耐久性能を持っているタフネススマホが、スマホ開発メーカーから販売されています。
ちょっとやそっとの衝撃や水などではビクともしないため、アウトドア派の方にはおすすめのスマホです。
最近では、防水や防塵に加え、世界初の耐海水性能を備えたタフネススマホも発売されました。耐海水とは、常温や静水状態の海水の水深1.5mに約30分沈めてもスマホの内部に浸水することがなく、電話機の性能を保てることを示します。そのため、今まで使用することができなかった海中でもスマホの利用が可能になり、注目を集めています。
スマホの耐衝撃性能について
スマホの耐衝撃性能がどのような規格に基づいて認定されているのかをご存じない方は多いと思います。各メーカーが独自に定めた規格で認定しているものもありますが、多くの場合、「MIL-STD-810G」という試験規格に基づいて耐衝撃テストが行われています。
MIL-STD-810Gとは、米国国防総省が定めた規格文書MIL-STD-810の最新版です。温度、湿度、高度、振動、衝撃試験などの29種類の試験方法が記載されていて、通称「MIL規格(ミル規格)」と呼ばれています。MIL規格は、米国国防総省や米国軍隊が調達する物資の基準を定めたものです。要するに、米国の軍隊が現場で使用しても問題ない耐久性を備えた商品を購入するための基準です。
本来は軍事用なのですが、軍隊に関係のない商品でも、このMIL規格に則った試験をクリアすることができれば、米国の軍隊が戦場で使用しても耐えられる堅牢性も持っているということを客観的に証明することができ、商品の信頼性を大きく高めることが可能です。そのため、タフネススマホの耐衝撃性能を測る規格として使用されています。タフネススマホの商品紹介ページを見ると、多くの商品で「MIL-STD-810G対応」や「米国国防総省が定める耐久試験MIL-STD-810Gに準拠」といった記載が見つかるはずです。
詳細な説明をしている場合では、「MIL-STD-810G Method 516.7:Shock-Procedure IV」というような形の記述がある場合もあります。これは、「MIL-STD-810Gに定められている方法516.7の耐衝撃テスト手順IVを実施し、クリアしています」という意味です。
スマホの防水性能について

スマホの防水性能についても、耐衝撃性能と同じく、どのような基準が用いられているのかをご存じの方は少ないのではないでしょうか。
防水性能を持っているスマホの商品ページを見ると、「防水(IPX5/IPX8)」のような記載を見かけると思います。この「IPX5」や「IPX8」というものが、防水性能を示す値です。これは「IPコード」と呼ばれています。
IPとは「International Protection」のことで、「電気機械器具の外郭による保護等級」という意味です。IPは日本工業規格が規定した防水・防塵についての等級で、IPコードは、それをコード化したものです。IPコードの仕組みは簡単で、IPの後の2つの数字が保護等級を示しています。最初の数字を「第一特性数字」といい、0~6までの数字とXのいずれかが入ります。
第一特性数字は、後に紹介する防塵の性能を表すものです。2番目の数字は「第二特性数字」といい、0~8までの数字とXのいずれかが入ります。第二特性数字は、防水の性能を表しています。
Xは、性能テストを実施していない、その機能に対応していない場合や、防水か防塵のどちらかの機能のみを表示したいときに使います。例えば、防水性能が5等級、防塵性能が3等級のスマホがあった場合、IP35もしくは、防水性能:IPX5、防塵性能:IP3Xというような記載方法があるわけです。
防水性能を示す0~8の数字ですが、それぞれ以下のような意味があります。
【防水等級】
0…無保護。対応していない。
1…鉛直(重力の方向)から落ちてくる水に対して耐性がある。
2…鉛直から15度以内の範囲で落ちてくる水(散水)に対して耐性がある。
3…鉛直から60度以内の範囲で落ちてくる水(散水)に対して耐性がある。
4…あらゆる方向から水の飛沫を受けても問題が生じない。
5…あらゆる方向から噴流水(ノズル等から噴出される水)を受けても問題が生じない。
6…あらゆる方向から強い噴流水を受けても問題が生じない。
7…一時的に一定水圧の水に浸しておいても問題が生じない。
8…7よりも厳しい条件で、長時間水に浸していても問題が生じない。
スマホの防塵性能について

スマホの防塵性能は、上記の通り防水性能と同じIPコードを使用して表されています。
「外来固形物の侵入に対する保護等級」である第一特性数字が防塵性能を示しています。防塵性能を示す0~6の数字が意味するところは、以下の通りです。
【防塵等級】
0…無保護。対応していない。
1…直径50mm以上の大きさの外来固形物が侵入しない作りになっている。
2…直径12.5mm以上の大きさの外来固形物が侵入しない作りになっている。
3…直径2.5mm以上の大きさの外来固形物が侵入しない作りになっている。
4…直径1.0mm以上の大きさの外来固形物が侵入しない作りになっている。
5…電気機械器具の動作に問題が生じるような外来固形物は侵入しない作りになっている(防塵形)。
6…外来固形物が一切侵入しない作りになっている(耐塵形)。
なお、表記がIP56となっているからといって、1~5の防塵性能と1~6の防水性能の全てに対応しているというわけではありません。IP56と書いてある場合は、あくまで5の防塵性能と6の防水性能のみを持っているという意味になるため、注意しましょう。