生成AIとは?一般的なAIとの違いや業務での活用例、注意点を解説

生成AIが生成するコンテンツの品質が高まり、生成速度も高速化されたことで、世界的に活用する流れがやってきました。個人での利用はもちろん、ビジネスでも積極的に利用されつつある状況です。DXで業務変革を実現するために、生成AIを利用することも増えてきました。今回は生成AIの基本から業務での活用例、ビジネスへの導入について解説します。
生成AIとは

最初に、注目を集めている生成AIとはどのような技術であるか、仕組みや主なモデル、一般的なAIとの違いを理解しましょう。
生成AIの仕組み
生成AIは、膨大なデータセットを用いて特定のパターンや構造を学習し、新しいコンテンツを生成できるAIです。トランスフォーマーモデルや変分オートエンコーダ(VAE)、生成敵対ネットワーク(GAN)などの活用により、テキストや画像、音声などを生成します。利用者からの指示を汲み取って新規生成するだけではなく、学習内を活用して、追加の指示を受け付けることもできるようになりました。
生成AIの主なモデル
生成AIにはモデルと呼ばれる得意分野のようなものがあります。例えば、テキスト生成や画像生成などのモデルが登場している時代です。
代表的なモデルには、OpenAIのGPTシリーズ、DeepMindのAlphaFold、NVIDIAのGAUGAN、GoogleのBERTやT5があります。それぞれのモデルが独自の用途に向けて開発されているため、比較して「どのモデルが良いのか」と判断することはできません。
生成AIと一般的なAIの違い
生成AIと一般的なAIの主な違いは、生成AIが新しいコンテンツを生み出すことに対し、一般的なAIは主に既存データの分析やパターン認識を担う点です。
利用例を比較すると、生成AIは創造性を持つため、テキストや画像などの新規作成に利用されます。対して、一般的なAIは、予測や分類、クラスター分析などのタスクを処理して、人間には難しい計算や特徴の発見が中心です。新しいものを生み出すか、提示されたものを処理するかという点で大きな違いがあります。
生成AIの種類

生成AIには種類があるため、代表的なものを5つピックアップしました。
- テキスト生成
- 画像生成
- 音声生成
- 動画生成
- 3Dモデル生成
それぞれの詳細を解説します。
テキスト生成
テキスト生成AIは、自然言語処理技術を使用して、文章や会話を生成するものです。代表例として、OpenAIのGPTシリーズがあり、記事などの文章、俳句や詩など芸術性が求められるもの、ソースコードなど技術が必要なものを生成できます。
画像生成
画像生成AIは、入力されたテキストや他の画像データを元に新しい画像を作成するものです。例として、DALL-EやMidjourneyがあり、AIに指示を与えながら求める画像へと微修正します。迅速に高品質な画像を生成できるため、多方面に利用されているAIです。
音声生成
音声生成AIは、テキストを自然な音声に変換するもので、例えば、GoogleのWaveNetやAmazonのPollyが挙げられます。動画コンテンツのナレーションやカスタマーサービスの自動応答などに活用されることが増えてきました。
動画生成
動画生成AIは、テキストや画像データから新しい動画を作成するものです。多くの場合、ストーリーを文章で提供することで、その内容を動画化してくれます。一般的に動画の撮影や編集には多くのコストが生じるため、生成AIで解決できる場合は大きな削減が可能です。
3Dモデル生成
3Dモデル生成AIは、2Dの画像やテキストから3Dモデルを作成するものです。例として、NVIDIAのGAUGANやGoogleのDeepMindがあります。ゲームやVRなどの世界で利用される機会が増え、近年は動画コンテンツの作成などにも活用されるようになりました。
生成AIの業務での活用例

生成AIを業務で活用する例は下記の通りです。
- 市場調査と要約
- メールや企画書などビジネス文書の作成
- デザイン原画の創造
- 顧客対応の自動化
詳細をご紹介します。
市場調査と要約
膨大なデータを迅速に分析し、トレンドや市場動向を把握する業務に活用できます。例えば、GoogleはAIを活用して市場調査のプロセスを効率化し、競争優位を保つための情報収集や提供に力を入れている企業です。また、調査レポートの作成にもAIを活用しているため、情報の活用がスピーディーであったり担当者の負荷を最小限に抑えたりしています。
メールや企画書などビジネス文書の作成
ビジネス文書の自動生成にも活用が可能で、メールや企画書のドラフトを作成してもらえます。必要に応じて内容を微調整するだけで、高品質な文書の作成が可能です。特に日本語はかしこまった表現を利用するなど、ビジネス文書の作成に時間を要します。しかし、生成AIを活用すれば最低限の作業だけで高品質な文書が手に入るでしょう。
デザイン原画の創造
デザイン分野でも生成AIが活用され、デザイナーのアイデア出しを支援するなどの活用があります。例えば、キーワードを基に新しいビジュアルコンセプトを作成し、デザイナーの考えを刺激するなどです。そのまま採用できることもあれば、インスピレーションを受けて新しいものを生み出せることもあるでしょう。
ソフトウェア設計や開発
ソフトウェアの設計や開発においても活用される機会が増えています。例えば、GoogleのProject IDXは、生成AIを利用してコードの生成、補完、Q&Aを実現し、エンジニアの生産性を向上させる仕組みです。初心者でも提示されたコードを組み合わせるだけで開発できるなど、時代が大きく変化しています。
顧客対応の自動化
顧客対応の自動化にも大きな役割を果たすようになってきました。例えば、AIチャットボットは、24時間体制で顧客の問い合わせに対応し、予約作業や質問への対応を実現してくれます。担当者の負荷を軽減するだけでなく、顧客満足度を高める活用方法です。
生成AIでは難しい業務ジャンル

生成AIはさまざまな業務で利用されますが、すべての業務に適したものではありません。下記が例です。
- 感情の理解が求められる
- 倫理観・道徳観を踏まえる必要がある
詳細をご説明します。
感情の理解が求められる
生成AIは、感情の理解が求められる業務ジャンルでは、思うように活躍できません。同じ言葉でも、その背景にある感情は、一概に断言できないからです。現在のAIでは、そのような部分を推測して何かしらを生成することは難しくなっています。
例えば、顧客の言葉から感情を汲み取って、適切な対応をすることは難しいでしょう。特に、日本語は同じ言葉でも、平常心のこともあれば怒っていることもあります。そのような微妙な感情の違いをAIで汲み取ることはできず、そのようなスキルが求められる業務には対応できません。
感情の汲み取りが必要な場面でAIを利用してしまうと、感情に反した文章を生成してしまうなど、相手の感情を逆なでしてしまうことになりかねません。
倫理観・道徳観を踏まえる必要がある
残念ながら、AIは、倫理感や道徳感を完璧に踏まえることができません。学習した内容に沿って生成するため、何かしら問題があるものを学習していれば、それを踏まえて出力してしまいます。例えば、戦争についての小説を学習した結果、戦争を肯定するような文章を生み出してしまうかもしれません。これは一例ですが、生成した文章の道徳感や倫理感を自身で判断することはできず、そのような観点を踏まえる業務での利用は避けるべきです。
生成AIをビジネスで利用する際の注意点
AIはビジネスで活用することで大きな効果を発揮してくれます。ただ、利用に際しては下記のようにいくつかの注意点があります。
- 内容の正確性
- 著作権の有無
- 情報漏えいやセキュリティ
- 人間の失職
詳細をご説明いたします。
内容の正確性
AIが生成した内容の正確性を評価することが重要です。どのようなAIにおいても、生成された内容が100%正しいとは断言できません。場合によっては誤りを含んでしまう可能性があるため、注意すべきです。
もし、ビジネスで生成AIを利用するならば「人間のサポート役」であると捉えておくと良いでしょう。負担のかかる業務を生成AIに対応してもらい、最終的に人間がその内容を精査するだけにします。例えば、内容に問題がないかや、上記で示したような倫理感や道徳観の懸念がないかだけを人間がチェックする流れです。
著作権の有無
近年、注意点として挙がりやすい観点に、AIで生成したコンテンツの著作権があります。生成AIは、事前にさまざまなコンテンツを学習し、それを踏まえて何かを生み出すものです。ただ、事前に学習したコンテンツには著作権が認められている場合があり、それを模倣して生成されたコンテンツには著作権の問題が生じかねません。このコンテンツを商業利用してしまうと、著作権違反などの問題に繋がる可能性があります。
なお、学習するデータを吟味して、著作権違反にならないことを保証しているAIも登場しています。ビジネスで利用する際は、コンプライアンスも重要となるため、著作権の有無も考慮してAIを選択すると安心です。
情報漏えいやセキュリティ
いくつものAIが登場していますが、それらの情報管理やセキュリティは未知数の状態です。利用するものによっては、何かしら問題が生じる可能性があるため注意しましょう。例えば、新製品に関する情報の資料作成に生成AIを利用して、その情報が漏洩することで、プレスリリースの前に世の中に知れ渡ってしまうかもしれません。これは会社として大きな損害を被る可能性があるため、注意が必要です。
ただ、情報漏洩やセキュリティの懸念は、他社が開発したシステムを利用する上で切っても切り離せない内容です。リスクをゼロにすることは不可能であるため、可能な限り信頼できるAIを利用するようにしましょう。
人間の失職
ビジネスにAIを導入することで、人間が職を失う可能性があります。例えば、今まで3人で対応していた業務を2人でこなせるようになるかもしれません。人件費の削減という観点では良いかもしれませんが、契約によっては簡単に解雇はできないでしょう。コストなどで無駄が生じる可能性があるため、求める人員数が減少する際は注意が必要です。
生成AIを社内に導入する流れ

生成AIを社内に導入する際は、以下のステップで考えていきましょう。
生成AIを社内に導入する流れ |
---|
|
最初に考えなければならないことは、どの業務にAIを導入するかという部分です。解説した通り、AIは、いくつものコンテンツを生成できるため、幅広い業務に導入が可能です。これらのうち、どこへ導入してみたいか考えるようにしましょう。また、AIは、非常に多くの種類があるため、自社にどれが適切であるかを比較して、検証することも求められます。導入するAIによっては、思うような効果を得られないまま終わってしまうため注意しましょう。
AIによる業務効率化はPCホスピタルにご相談ください。
AIを活用することによって、業務フローを根本的に見直すなど、社内に変革をもたらせます。そのため、DXの一環として、AIの導入を検討しましょう。今まで人間が対応していた業務をAIに置き換えることで、大きく生産性が高まると考えられます。とはいえ、具体的にAIを活用できる業務が思いつかない人もいるはずです。その場合は、ぜひともPCホスピタルへご相談ください。