キッティング作業とは?内容や流れと実施時の注意点を解説

キッティング作業とは?内容や流れと実施時の注意点を解説

キッティングとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの導入時に実施するセットアップ作業を指します。これらのデバイスは導入すればそのまま利用できるわけでなく、事前にいくつかの設定を施したり、必要なアプリケーションをインストールしたりする作業が必要です。このような事前準備作業全般をキッティングと理解すれば良いでしょう。今回はパソコンなどの導入時に必要となるキッティングについて解説します。

キッティング作業とはなにか

最初にキッティング作業とはどのような行為であるかを大まかに理解していきましょう。

キッティングの概要

キッティングとは「パソコンを完璧に利用できる状態までに準備する」ということです。初期設定にとどまらず、実際に利用者が業務などを開始できる状態まで準備します。例えば、業務に必要なソフトが5種類あるならば、すべてインストールし設定まで施します。会社の場合は、従業員が受け取ってすぐ利用できる状態まで準備することがキッティングだと理解すればよいでしょう。そのため、キッティングでは以下のような作業を実施する必要があります。

  • デバイスの状態確認
  • 周辺機器の接続
  • BIOSやOSの設定
  • ネットワーク接続
  • 業務アプリケーションのインストール
  • 各種アップデート作業
  • セキュリティ対策

これらは一例ですが、キッティングという言葉の中には多くの作業が含まれていると理解してください。

キッティングとセットアップの違い

キッティングと同じような意味で利用されるキーワードにセットアップがあります。どちらも、デバイスに対する事前作業ですが、少し意味合いが異なるものです。

まず、キッティングは上記で解説したとおり、ユーザーがすぐに業務を開始できる状態まで準備するものです。ソフトウェアのインストールなどが含まれると解説しました。それに対して、セットアップはインストールなどの作業を開始できる状態にまで準備すること全般を指します。つまり、キッティングのようにインストールや設定の作業は含まれません。

もちろんセットアップの状態でアプリケーションをインストールすることはあるかもしれません。ただ、意味合いとしては、インストールできる状態までを作り出すことと考えてください。

キッティングの重要性

キッティングは、作業効率を高めるために重要な工程です。近年は各種デバイスを導入する機会が増えてきているため、これらをスムーズに準備しなければなりません。準備自体に時間がかかっているとユーザーへの展開が遅くなり、業務に影響が出てしまうためです。

今までのようにセットアップだけ実施して、ユーザーにソフトウェアのインストールしてもらう作業は、どうしても時間を要するものでした。特にデバイスの操作を苦手としている従業員は、誤った操作や指示が理解できないなどの問題を抱え、スムーズに進められないためです。その都度、IT担当者がフォローするケースもありましたが、台数の増加に伴いこのようなフォローにも限界が生じました。そのため、最初からパソコンを利用できる状態にして提供するキッティングが重要視されるようになっています。

キッティング作業の流れ

キッティング作業の流れは1台ずつを手動でセットアップする方法と、事前にマスターイメージを作成して、それを展開するクローニングと呼ばれる方法があります。それぞれどのような作業の流れになるのか、簡単に解説します。

手作業の場合

手作業の場合は以下のような流れが一般的です。それぞれのデバイスに対して同じ作業を繰り返し実施します。

キッティングを手作業で行う時の流れ
  1. パソコンの受け取りと状態確認
  2. OSとBIOSのセットアップ
  3. プリンターやネットワークの設定
  4. 社内で利用するソフトウェアのインストール
  5. 管理番号などの付与やシールの貼り付け

クローニングの場合

クローニングの場合は以下のような流れが一般的です。事前にマスターを作成しておくと、あとはコピーするだけであり、同じ作業を繰り返す必要がありません。

キッティングをクローニングで行う時の流れ
  1. パソコンの受け取りと状態確認
  2. コピー元となるマスターの作成(ここで手作業と同等の作業が発生)
  3. マスターを各デバイスへと展開
  4. 個々に設定が必要な部分の対応
  5. 管理番号などの付与やシールの貼り付け

キッティングを自社で実施する際のポイント

一般的に、キッティングはデバイスを導入する企業の担当者が実施しなければなりません。その際に自社で実施する際のポイントは下記の5つです。

  • 十分なセキュリティ対策を施す
  • スケジュールに余裕を持つ
  • 事前に作業手順をテストする
  • 必要なライセンスなどを確保する
  • 発生しうるトラブルを想定する

詳細を解説します。

十分なセキュリティ対策を施す

キッティングにあたっては、十分なセキュリティ対策を施すことを心がけましょう。例えばセキュリティ対策ソフトを導入して、セキュリティの底上げを意識します。また、ユーザーへ展開する前に、OSのアップデートを実施しておき、最新のバグなどを修正することが大切です。近年は、情報漏洩などが問題視されることが多いため、そのような事態を発生させないためにセキュリティ対策が必須ともいえます。

キッティングは、ユーザーが利用できる状態を作り出すものであるため、業務に必要なソフトウェアだけをインストールしがちです。しかし、これではセキュリティに問題が生じてしまうことがあるでしょう。そのため、セキュリティ関連のソフトウェアをインストールし設定するところまでが、キッティングであると考えるべきです。

スケジュールに余裕を持つ

自社でキッティングする際には、スケジュールに余裕を持つことが大切です。事前に準備していても、キッティングでは予期せぬトラブルが起きるかもしれません。例えばデバイスの不調で、想定していた時間よりも遥かに時間を要してしまうことがあります。不測の事態に備えるために、スケジュールには余裕を持ちましょう。余裕のあるスケジュールを立てていないと、期日までに完了せず、ユーザーに展開できないかもしれません。

このような事態に陥ると、業務への大きなインパクトは避けられないはずです。導入する台数が多ければ多いほどリスクが高まるため、よりスケジュールに余裕を持つべきです。

事前に作業手順をテストする

実際にテスト用端末を利用して、キッティング手順に誤りがないか確認しましょう。手順自体は机上で作成することが多いため、実際に操作してみるまで正しいかどうか断言はできません。場合によってはテストの過程で何かしらの問題が露呈するかもしれません。テストに失敗した際は、操作内容を見直して、本番までにスムーズに進む手順へ修正していきましょう。

また、事前にテストすることによって、担当者のスキルアップが可能です。手順だけ作成していても、実際に操作しなければ、キッティングの担当者は誤りを犯すかもしれません。しかし、テストの過程で手順を細かく確認していれば、間違いやすいポイントなどを把握でき失敗しにくくなるでしょう。

必要なライセンスなどを確保する

ソフトウェアをインストールする際には、ライセンス数の確保が重要です。ライセンス数が不足していると、認証ができずキッティング作業が止まってしまうかもしれません。また、ライセンス違反になって、コンプライアンス上の問題が生じることも考えられます。

一般的に企業で大量のライセンスを取得する際は、ボリュームライセンスと呼ばれるものを利用します。大量に購入して安く手に入る企業向けのライセンスであると考えればよいでしょう。多くのソフトウェアでこのような仕組みを導入しているため、事前に十分なライセンスを購入すべきです。なお、ライセンスの詳細については、ソフトウェアを提供するベンダーに確認する必要があります。

発生しうるトラブルを想定する

発生しうるトラブルを想定しておくと、何かしら発生した際にスムーズな対応が可能です。事前に想定できる範囲には限界がありますが、できるだけ洗い出しておきましょう。もし、上記のテストにおいて問題が発生していたならば、それらについてもトラブルのひとつとして管理すべきです。事前にトラブルを想定しておくと、万が一発生した際でもスムーズな対処が可能です。

逆に、何も想定できていないと、その都度対処方法などを調査する必要があります。時間を要してしまう原因となるため、トラブルを想定しておくことは大切です。

キッティングを自社で実施する注意点

キッティング作業は自社で実施できますが、以下のとおり注意点があります。

  • 知識を持った従業員が必要となる
  • 他の業務に影響しかねない
  • 教育が不十分であるとミスが生じやすい

内容をご説明いたします。

知識を持った従業員が必要となる

基本的には知識を持った従業員を必要とします。特にキッティング作業の手順を作成する過程において、専門的な知識が必要と考えましょう。 どのソフトウェアをどのようにインストールするか、セットアップはどのようにすれば良いかなどが判断できる人材が必要です。

自社にそのような人材がいれば、キッティングはスムーズに進むでしょう。逆に人材の確保が難しいのであれば、自社内でのキッティングは避けた方が良いかもしれません。キッティングに失敗して、デバイスがスムーズに利用できなくなってしまいます。

他の業務に影響しかねない

一般的に、キッティングは時間のかかる作業であるため従業員に従事させると、他の業務に影響しかねません。例えば、IT担当者をキッティング作業に従事させると、システムトラブルに関する問い合わせに対応できなくなる可能性があります。逆に、システムトラブルに対応すると、キッティング作業が滞る可能性があるでしょう。

スケジュールに余裕を持っていれば、何かしら不測の事態が発生しても、ある程度はカバーできます。しかし、その場合でも、担当者に負担がかかることは避けられません。負担が積み重なることで、業務に悪影響を与えてしまうことも考えられます。

教育が不十分であるとミスが生じやすい

キッティング作業を実施する前には、十分な教育が必要です。正しく理解できていない状態で作業を進めてしまうと、間違いを犯す可能性が高まります。特に複数の従業員でキッティングする際は、全員への教育に力を入れた方が良いでしょう。

キッティングでアウトソーシングを採用するメリット

キッティング作業は自社で対応することも可能ですが、アウトソーシングした方が安心です。その時のメリットは下記の通りです。

  • ミスが生じにくい
  • 社内のリソースに影響しない
  • 総合的にはコストの削減を実現できる

キッティングでアウトソーシングを採用するとどのようなメリットがあるか紹介します。

ミスが生じにくい

専門家にアウトソーシングすることでミスが生じにくくなります。社内では事前に作業手順を検証していても、何かしらミスが生じてしまうかもしれません。特に従業員のレベルが十分でないまま実施するとミスの原因となりかねないでしょう。しかし、このような心配はアウトソーシングによって排除できます。

ミスによってやり直しが発生すると、時間的なムダが生じる可能な限り避けることが重要です。社内でリスクを抱えるよりも、アウトソーシングしたほうが安心と考えられます。

社内のリソースに影響しない

作業をすべてアウトソーシングするため、社内のリソースに影響しません。社内の担当者は、進捗状況を確認するだけであるため、大きく業務が増えないと考えられます。従業員が少なかったり、現時点で担当者のリソースが逼迫していたりするならば、アウトソーシングには大きなメリットがあるでしょう。

また、キッティングを社内で実施するためには、教育など事前準備が必要です。これらにも、本来はリソースが割かれてしまうことを加味すると、非常に多くの時間を節約できるでしょう。

総合的にはコストの削減を実現できる

アウトソーシングにはコストが必要ですが、総合的にはコストの削減に繋がることがメリットです。キッティング作業の手順を作成し、従業員へ教育、実際の作業を実施する手間を考えると大きなコストの削減につながります。コストの負担はありますが、総合的にはアウトソーシングした方がコストパフォーマンスは良いでしょう。

キッティングはプロのノウハウを持つPCホスピタルにお任せください

解説したとおり、キッティング作業は自社で実施できますが、品質やコストを考えると、アウトソーシングが便利です。

PCホスピタルはパソコンのトラブル解決や設定サポートを行うプロです。お客さまのご要望に合わせてキッティングを行うことができます。

特に、導入台数が多い場合や設定方法が不明瞭な場合は私たちPCホスピタルにキッティングをご依頼いただくことをおすすめします。

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