PCケースの交換手順と失敗しないケース選びのポイントを徹底解説
PCケースを新しく交換すれば、パソコン自体を買い換えることなく、比較的コスパよくパソコンの性能をアップグレードさせることができます。PCケースの外観に飽きが出た場合は、自分好みのデザインに変えられるので、パソコンにこだわりが強い方はよりメリットを感じやすいでしょう。
しかし、PCケースの交換は容易ではありません。一定の手間がかかるため、正しい手順と事前準備をしっかり理解して実践する必要があります。
この記事では、PCケース交換において大事なポイントと交換作業の手順などを詳しく紹介していきます。はじめてPCケースの交換に挑戦する方は、しっかり最後までチェックするようにしてください。
PCケースを交換する前のチェックポイント
外観のサイズやマウントべイの種類と数、配線のしやすさなど、PCケースによって異なるので、交換する前に適合するか確認する必要があります。
そこで、PCケースを交換する前のチェックポイントを3つ紹介します。
マザーボードやグラフィックボードのサイズ
マザーボードやグラフィックボードの規格が、PCケースに対応するか確認する必要があります。
たとえば、マザーボードは大きい順に「Extended ATX」、「ATX」、「Micro ATX」、「Mini ITX」といった規格があります。この規格に合うPCケースでなければ、物理的に取り付けができません。
グラフィックボードも同様に、長いものや厚みがあるものなどサイズがさまざまです。性能の高いグラフィックボードほど、排熱ファンが2つ付いているもの、ヒートシンク部分が大きくなっているもの、GPUを2つ搭載しているものなど多岐に渡ります。ほかにもCPUファンの全高や電源ユニットの奥行きが対応するかなどの確認が必要です。
各パーツの対応サイズを確認するために、一度PCを開けて確認しましょう。
マウントべイの種類と数
マウントべイとは、ストレージや光学ドライブなどの取り付け位置を指します。5.25、3.5、2.5インチの3種類があり、対応するハードウェアが異なるので注意が必要です。各マウントベイの役割は次のとおりです。
マウントベイの種類 | 役割 |
---|---|
5.25インチ | 光学ドライブ、HDD防振ケース、インターフェースボード、ファンコントローラなど |
3.5インチ | 3.5インチHDD(SSDにも取り付け可) |
2.5インチ | 2.5インチSSD、2.5インチHDD |
DVDドライブなどは基本5.25インチでなければ取り付けできません。大半のPCケースは5.25インチの設置場所が標準となっています。しかし、設置場所がないものもあるため、用途によっては注意が必要です。
HDDは3.5インチが多いため、HDDを多く設置したい場合は3.5インチベイの数を確認しましょう。
SSDは2.5インチが多いです。もし、2.5インチの設置箇所がなくても「マウント」と呼ばれる部品を使うことで、3.5インチの箇所に設置可能となります。マウントはPCケースに付属されているか別途購入が必要です。
このように用途によってどのマウントベイが必要なのか、どのくらい数が必要なのかもPCケースを交換する前に確認しましょう。
配線のしやすさ
配線をまとめるために、配線しやすいスペースやスリットがあるか確認しましょう。たとえば、次のようなPCケースであれば配線しやすいといえます。
- 裏配線のスペースが広い
- スリットが多い
- 電源ユニットが隠されている
- 配線用の独自デザインがある
- 大きめのPCケース
ケーブルが太めで、裏配線のスペースが狭い場合、収納時に厚みが出て側板が閉まらないときがあります。この場合はケーブルを重ねないよう配線し、収納しなければなりません。
また、ケーブルをまとめたときに端子に近い部分は曲がりにくく、収納しにくい場合があるので注意しましょう。ケーブルが浮くと側板が閉まらなくなるため、浮きを抑えるために面テープを使って根元辺りからまとめるのがポイントです。
修理対応 | 出張/持込/宅配 |
---|---|
対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの修理実績を当サイト掲載中 |
料金 | パソコン修理 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
PCケースを交換する際の作業手順
交換の大まかな手順は次の流れで行います。
- PCの電源を落とす
- パソコン内部の現状をデータなどで残す
- 古いPCからパーツを外す
- PCケースを閉じる前に起動するか確認する
それでは、詳しく解説していきます。
PCの電源を落とす
PCケースを交換する際は、必ず電源を切り、配線ケーブルもすべて外しましょう。電源が切られていない状態で行うと、故障する可能性が高まるため注意してください。
また、電源を切った後でも、パソコン内部には電気が溜まっている可能性があります。完全に放電させるため、電源を切った後は約10分ほど放置しましょう。
パソコン内部の現状をデータなどで残す
パソコン内部のパーツを取り外す前に、各パーツの設置位置や配線がどのように接続されているかなど、PCケース内を細かく撮影・メモして現状復帰できるようにしておくのも大切です。
とくに初めてのPCケース交換を行う場合、交換作業に慣れていないため、誤って作業をした際に現状復帰できなくなる可能性があります。最悪の事態を招かないように、事前にスマホでの撮影やメモをしておくことで、現状をしっかり把握できるようにしておきましょう。
古いPCケースからパーツを外す
PCケース内からパーツを取り外していきます。取り外し作業にも順序があるので、まずは順番どおりに落ち着いて進めるようにしてください。
電源系から取り外す
配線ケーブルの取り外しはどこからはじめても良いですが、電源系のケーブルから取り外すことで感電などのリスクを予防できます。
つぎにグラフィックボードの電源を外しましょう。このときにグラフィックボードが差さっているPCIスロットのツメを解除してから取り外してください。
続いて、SSD、HDD、DVDドライブなどを取り外していきます。ケーブルを外したら、SSDやHDDをドライブベイから外します。
最後にマザーボードの取り外しです。次のような手順で行います。
- PCケース内の背面ファンとフロントファンに接続されているケーブルを取り外す
- フロントパネル用USB3.0コネクタ、フロントパネル用USB2.0コネクタ、フロントパネル電源ボタン用コネクタ、電源に接続されているファンコネクタを取り外す
- フロントパネル用オーディオコネクタを取り外す
- ネジを外してマザーボードを取り出す
- ケース背面にあるマザーボード用バックパネルも取り外す
ただし、「SPEAKER」と記載されたパーツはパソコン内部のエラーを知らせる警告音用のものなので、取り外さないようにしましょう。
ホコリがある場合は取り除く
取り付け作業に入る前に、さまざまなパーツに付着したホコリを取り除きましょう。マザーボードの表面は細かいホコリで汚れているため、小さい刷毛やエアダストで吹き飛ばすのがおすすめです。
広範囲の部分はウェットティッシュで拭きとります。ホコリ取りは手間ではあるものの、精密機器はホコリの付着で故障する可能性もあるためしっかり実施するようにしてください。
新しいPCケースへ部品を取り付ける
これより、新しいPCケースへの取り付け作業を説明します。、注意点として、ケースによって取り付け方が異なる部分があるため、本記事で説明する手順はあくまで概要として理解してください。基本的には、PCケースの取り扱い説明書などを参照しながら取り付けるのをおすすめします。
それでは、新しいPCケースを取り付ける際のポイントを紹介していきます。
マザーボードの取り付け方
最初にマザーボードを取り付けます。マザーボードのネジ穴と新しいPCケースのネジ穴が一致する場所を確認してください。
つぎに側面へ触れないようスペーサーを取り付けてからマザーボードの取り付けを行います。このスペーサーは、初めから取り付けられている場合もあります。
マザーボードの取り付け前に忘れてはいけないのがバックパネルです。最近ではバックパネルが固定されているタイプもありますが、取り外せるタイプの場合は取り付けを忘れないよう注意しましょう。
CPUとCPUクーラーの取り付け方
マザーボードを取り付けた後は、CPUとCPUを冷却するCPUクーラーを取り付けます。古いPCケースからCPUクーラー用のバックプレートを外して新しいプレートに取り付けます。
つぎにCPUとCPUクーラーの間にあるCPUグリスという熱伝導を高めるゼリー状の潤滑剤を塗りひろげます。潤滑剤を塗ることで熱伝導率や冷却効果が高まるため忘れずに行いましょう。
マザーボードと各パーツの取り付け方
取り外し時に撮影した写真やメモを見ながら各パーツを接続していきます。この際、電源系の配線ケーブルは最後に取り付けましょう。
なお、配線をマザーボードの裏側に接続する場合は、裏配線に対応したPCケースが必要です。
電源配線と各パーツの取り付け方
前項と同様、撮影した写真やメモを見ながら電源配線など、ほかのパーツを取り付けていきます。
ケーブルなどの差しこみ場所がよくわからない場合は、マザーボードの説明書に記載されているので確認してみましょう。
電源系の配線ケーブルは、取り付け向きがあるのでツメの位置に気を付けてください。接続するときは無理に押し込もうとせず、抵抗があれば写真やメモをよく照らし合わせながら確認することが大切です。
PCケースを閉じる前に起動を確認する
すべてのパーツやケーブルを接続し終えたら、PCケースを閉じる前に起動確認を行いましょう。
とくに確認するのは、モニター、マウス、キーボードです。これらが正常に起動するか電源を入れて確認してください。問題なければ、PCケースを閉じて交換完了です。
起動しなかった場合の対処法
起動しない場合は、以下の点を確認してみましょう。
- 電源ユニットがオンになっているか
- 電源ケーブルはきちんと接続されているか
- PCケースの電源スイッチ用ケーブルは正しい位置に接続されているか
- マザーボードにすべてのケーブルが接続されているか
- グラフィックボードはきちんと差しこまれているか
- モニターのケーブルはきちんと差しこまれているか
すべてが正常に接続されているかの確認が重要です。
すべて確認しても起動しないのであれば、マザーボードやケーブルなどのパーツが問題の可能性が高いです。
もし復旧が難しい場合は、パソコン関連のトラブルを専門とする修理業者に相談してみるのをおすすめします。PCホスピタルでは、全国各地で出張修理や宅配修理を即日対応しているのでお気軽にご相談ください。
はじめてでもわかるPCケースの選び方
PCケースは種類がさまざまです。はじめてPCケースを購入する方は、、以下のポイントをおさえましょう。
- 対応のマザーボードから選ぶ
- パーツの対応サイズから選ぶ
- パソコンの拡張性から選ぶ
それでは、選ぶポイントを詳しく紹介します。
対応のマザーボードから選ぶ
すでに取り上げたとおり、PCケースは、マザーボードの大きさや規格によって選べる種類が決まっています。
マザーボードの規格で多いものは、標準の「ATX」、それより小型の「Micro ATX」、小型パソコン向けの「Mini-ITX」です。
ATXは対応するPCケース内のスペースが広いため、接続するパーツの取り付けができないトラブルが少ないとされているため、標準タイプのATXを選ぶと良いでしょう。
ただしサイズが合わなければ取り付けできないので、本当にマザーボードの規格が合っているのか、お持ちのパソコンの製品仕様をしっかり確認しておきましょう。
パーツの対応サイズから選ぶ
CPUクーラー、グラフィックボード、電源ユニットなどのパーツは性能によってサイズが異なるため、サイズに合うものを選ぶ必要があります。
とくにハイエンドグラフィックボードや冷却性能が良いCPUクーラーなどを取り付ける場合は、PCケースに入るか確認してください。
また、電源ユニットはATX電源が多いですが、同じATX電源でもサイズが異なることがあるので注意しておきましょう。
たとえば、トップ側に電源ユニットを取り付けるPCケースは、マウントベイに干渉して使えなくなる可能性があります。ボトム側に取り付けるタイプであれば、干渉する可能性は低くなります。
パソコンの拡張性から選ぶ
PCケースは、拡張性も大切な選ぶポイントのひとつです。HDDやSSDなどを設置するドライブベイや、グラフィックボードなどの拡張カードを設置する拡張スロットの数などを確認してみましょう。
この数が多いほどに搭載できるパーツが増えるため、搭載したいものが多い場合はPCケースのサイズも大きくなります。
PCケース交換は代行サービスにも依頼できる
PCケース交換は自分でもできますが、配線時に不備があるとディスプレイが起動しなくなる、マザーボードが故障するなどの不具合が起きてしまう可能性があります。PCケースの交換が初めてで不慣れな場合は業者に代行を依頼するとトラブルを防げるでしょう。交換後の動作テストも行ってくれるため、失敗なくPCケースを交換できます。
代行サービスに依頼する際はPCケース代と交換費用がかかります。交換費用の相場は5,000円前後から15,000円強となっています。もし、自分のパソコンがオーダーメイドパソコンを製造・販売している企業のものであれば、その企業が提供している代行サービスを選ぶと交換費用を抑えることが可能です。
自作PCや他社製(メーカー製など)のパソコンだと交換費用が高めになるうえ、場合によってはメーカー保証が受けられなくなる可能性があるので注意しましょう。また、自社取り扱いのPCケースを業者が使用する場合、メーカー製パソコンだと仕様によりパーツの交換や増設ができないこともあります。メーカー製パソコンを使用している人はパーツの交換や増設は避けたほうがよいでしょう。
その点、PCホスピタルはパソコン関連のトラブルを専門とする修理店で訪問も可能なため、自作PCやメーカー製のパソコンのPCケース交換にも柔軟に対応が可能です。PCケース交換に関する疑問があれば、お気軽にPCホスピタルまでご相談ください。
誤った知識だと間違う危険性も!正しい知識を身につけてPCケースを交換しよう
PCケース交換の事前準備として、マザーボードや各パーツのサイズと新しいPCケースに対応しているのか、お持ちのパソコンの製品仕様をよく確認するようにしましょう。また、パーツの取り外しや取り付けには順序があります。取り外しの際に撮影やメモなどで現状復帰できるよう記録を残すことも大切です。新しいPCケースを取り付けた後、すべてのパーツやケーブルを接続したら、PCケースを閉じる前に必ず動作確認をしましょう。電源を入れて、モニター、マウス、キーボードが正常に起動したらPCケースを閉じて交換完了です。
もし起動しなかった場合は、それぞれの手順が正しく行えているか確認しましょう。すべて確認しても起動しない場合は、パーツに問題がある可能性があります。
PCホスピタルはPCケース交換サポートに対応しています
PCケースの交換手順やケース選びについてご説明いたしましたがいかがだったでしょうか。
PCケースの交換は配線先を一つ間違えただけで起動しなくなるなど、細やかな作業が求められるので、起動トラブルに発生しやすいと言えます。
PCケース交換の際にどうしても復旧せず対処に困ってしまったら、お気軽にPCホスピタルまでご相談ください。症状によっては修理対応をさせていただきます。
修理対応 | 出張/持込/宅配 |
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対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの修理実績を当サイト掲載中 |
料金 | パソコン修理 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得