USBメモリのフォーマット方法とエラー発生時の原因と対処法【Windows 10】
リムーバブルメディアと呼ばれる補助記憶装置の一種であるUSBメモリは、小型で軽量なため使用が簡単なうえ、手軽にデータの受け渡しや持ち運びができる便利なツールで、SanDiskやSUPERTALENTといったメーカーのものが有名です。パソコンのUSBポートに差し込むだけで使える手軽さも魅力ですが、「ポートに挿したとたんにエラーが出てしまい、対処に困った」というケースが発生することがあります。この記事では、USBメモリのエラーが何を意味しているのかを解説しつつ、エラーの対処方法についても紹介していきます。
USBメモリをフォーマットするってどういうこと?
「フォーマット(format)」という単語を見たり聞いたりしたことのある人は多いのではないでしょうか。まずは、USBメモリをフォーマットするとはどういうことなのかを解説します。
フォーマットとは?
パソコン用語でのフォーマットとは「初期化」を意味します。初期化とは、「機器を工場から出荷したときの状態に戻すこと」です。ユーザーが手に取る前のまっさらな状態になるため、フォーマットすれば内部に保存してあるデータはすべて消えてしまいます。もしも「内部のデータをすべて消去して空き容量を確保したい」というときには、フォーマットするのがもっとも手っ取り早いともいえるでしょう。しかしここで、「フォーマットと保存データの消去はどう違うのか」と疑問に思う人がいるかもしれません。
フォーマットとは、単純にデータを消すために行うわけではなく、USBメモリをはじめとする記憶媒体にファイルシステムを適用し、記憶媒体を使うパソコン向けに再構築するのが目的です。USBメモリなどの記憶媒体は、それ単体では使えません。パソコンなどの機器に接続させることで初めて「データを保存する」という役目を果たします。フォーマットとは、シンプルにいえばパソコンの仕様に合わせてUSBメモリを使えるようにする作業だといえるでしょう。
そもそもフォーマットは書類の書式や仕様といった意味を持つ単語で、「決まった形式に当てはめる」という意味から、USBメモリをはじめとする記憶媒体に対しても使われています。2000年代前半まで広く使われていたフロッピーディスクは、使う前にユーザーがフォーマットするのが一般的でした。古くからのパソコンユーザーにとっては、フォーマットとはごく身近な作業だったわけです。一方で、USBメモリやSDカードなどは、ほとんどの場合すでにフォーマットされている状態で販売されています。
フォーマットには、物理フォーマットと論理フォーマットの2種類があります。物理フォーマットはローレベルフォーマットとも呼ばれ、全てのセクタに0を書き込むことで過去に記録されていたデータの痕跡を消去します。そのため、物理フォーマットを行うとデータを復旧させることはできなくなります。一方、論理フォーマットは記憶装置の領域にファイルシステムを適用する作業で、ファイルシステムは初期化されるものの内部のデータは残っているためデータを容易に復元することができます。また、物理フォーマットを行った場合、その後に論理フォーマットを行わないとデータを保存することができません。
ファイルシステムとは?
フォーマットとはファイルシステムを適用する作業のことですが、それではこの「ファイルシステム」とは一体どういったものなのでしょうか。USBメモリなどの記憶媒体は、第一にデータを保存することを目的としています。ファイルシステムとは、データをファイルとして管理するために必要な機能のことです。ファイルシステムの働きによって、「パソコンからUSBメモリにファイルをコピーする」などの作業ができる、というわけです。そのため、USBメモリのみならずSDカードやHDD(ハードディスクドライブ)など、あらゆる記憶媒体に入っています。
また、ファイルシステムはいくつか種類があり、WindowsやMacといったOS(オペレーティングシステム)の種類やバージョンごとに対応するものが異なります。「Mac OSでフォーマットしたUSBメモリがWindowsのパソコンで使えない」といったことは、ファイルシステムの違いから起こる現象です。そのほかにも、テレビ番組を録画するレコーダーにつなげて使っていた外付けHDDをパソコンで使うには、一度フォーマットしなくてはなりません。これも、レコーダーとパソコンではファイルシステムが異なっているから、というのが理由です。
しかし、市販されているUSBメモリなどはすでにフォーマット済みで、パッケージから出してすぐにWindowsでもMac OSでも使えるようになっています。「ファイルシステムはOSごとに異なるのに、なぜどちらでも使えるのか」と疑問に思う人もいることでしょう。これは、市販のUSBメモリなどはWindowsでもMac OSでも使えるファイルシステムでフォーマットされているためです。
修理対応 | 出張/持込/宅配(出張の当日サポートは予約枠が早く埋まるため、お急ぎの場合はなるべく早い時間にご依頼ください) |
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料金 | パソコン修理 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
USBメモリのフォーマット方法
USBメモリのフォーマット手順 |
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ボリュームラベルは、USBメモリに名前を付ける作業です。「〇〇旅行の写真」や「定期バックアップ2022年4月」、「〇〇プロジェクト用資料」など、わかりやすい名前をつけましょう。タイトルに日付も付けることでよりわかりやすくなります。
フォーマットには種類があるので利用するシーンにあわせてフォーマットを選んでください。よくわからなければデフォルトで構いません。
項目 | 詳細 |
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FAT32 | 汎用性が高いですが、1ファイルでは4GBまでしか保存できません。またOSの制限によって32GB以上認識することができません。Macでも読み書きができます。 |
exFAT | 1ファイルが4GB以上でも保存することができます。Macでも読み書き可能です。 |
NTFS | 1ファイルが4GB以上でも保存できます。Macでは読み取りのみ。書き込みができません。 |
USBメモリをフォーマットしますか?と出た時の原因と対処法
それまで異常なく使えていたのに、突然「USBメモリをフォーマットしますか?」という表示が出てきたときは、何らかのエラーが発生しているおそれがあります。この時点でフォーマットを承諾してしまうと、内部データの消去が避けられません。その場合、下記が原因として考えられます。
- USBメモリの不具合(論理障害)
- USBポートの不具合
- ディスク容量に対してデータを保存しすぎている
- パソコンの不具合
原因別の対処法について詳細をご説明いたします。
USBメモリの不具合(論理障害)
エラーの原因として考えられるのが「論理障害」です。「ソフトウェア障害」ともいいます。この場合、USBメモリ内部のファイルが破損している、ウイルスによってデータが破壊されているなどの原因が考えられます。パソコンに挿したUSBメモリは、「ハードウェアの安全な取り外し」のコマンドから取り外すことが推奨されていますが、それを無視して無理やり抜いたときに発生しやすい不具合です。特にファイルの書き込み中に抜いてしまうと、高い確率でデータが破損します。
この場合、パソコン上で不良セクタを修復すると直ることがあるので、作業が可能であれば試してみるといいでしょう。また、論理障害は、「USBの差し込み口が折れた」などの物理的な破損とは異なるため、フォーマットすることでUSBメモリそのものを再度使えるようにすることは可能です。ただし内部のデータは消えてしまいます。また、USBメモリもほかの機器と同じく、使っているうちに劣化します。書き込み回数にも限界がありますので、購入から年月が経っているものや日ごろから繰り返し使っているものは、動作しなくなる前に買い換えたほうがいいでしょう。
USBポートの不具合
パソコン側のUSBポート(USBの差し込み口)に不具合がある可能性もあります。きちんと奥まで差し込まれていないだけのこともありますので、まず一度取り外して差し直したり、別のUSBポートを試したりしてみましょう。また、差し込み口にたまったホコリなどのせいで接触不良を起こしている可能性もあります。USBの差し込み口は形状からホコリがたまりやすく、知らないうちに汚れていることが多いパーツです。この場合はエアダスターや綿棒などで掃除をすると改善することがあります。
パソコン側のUSBポート(USBの差し込み口)に不具合がある可能性もあります。きちんと奥まで差し込まれていないだけのこともありますので、まず一度取り外して差し直したり、別のUSBポートを試したりしてみましょう。また、差し込み口にたまったホコリなどのせいで接触不良を起こしている可能性もあります。USBの差し込み口は形状からホコリがたまりやすく、知らないうちに汚れていることが多いパーツです。この場合はエアダスターや綿棒などで掃除をすると改善することがあります。
ディスク容量に対してデータを保存しすぎている
USBメモリに大量のデータを保存していると、負担がかかってトラブルの原因となる可能性があります。最大容量ギリギリまでデータを保存すると、不具合が起きやすくなるといわれています。しかし、常にエラーが出てしまう状態では内部のデータを整理できません。「使えてはいるが、ときどきエラーが出る」といった不安定なときに、不要なファイルを削除してみるといいでしょう。
USBメモリは、少ないもので1GBや4GB、多いものだと64GBや128GBの大容量のデータを保存できるため、残り容量をあまり気にせずに使用してしまう場合も多いかと思います。しかし、大量のデータを保存した状態でエラーが発生し、データを消失することになると大変です。特に、USBメモリをパソコンのバックアップに使用されている方は注意してください。
パソコンの不具合
USBメモリではなく、パソコン本体に問題があることも考えられます。この場合は、一度パソコンをシャットダウンしてしばらく放置してから電源を入れ直すなどの手順を踏むと解決することがあります。また、USBハブを経由している場合は、一度ハブを外してパソコン本体のUSBポートに挿してみるといいでしょう。「何度再起動してもエラーが出るが、別のパソコンに挿したら正常に動いた」というときは、パソコン側に不具合が起きている可能性が濃厚です。
それでも直らない場合は?
これまでに紹介した方法を試してもエラーが出続けるときは、内部データの吸い出しを優先させたほうがいいでしょう。「フォーマットしますか?」の画面で「いいえ」を選択し、ファイル復旧ソフトを使って復旧を試みます。ファイル復旧ソフトには、無料で使えるフリーソフトから有料のものまで、さまざまな種類があります。どちらでも復旧そのものは可能ですが、復旧率や処理にかかる時間は異なりますので、口コミや実際使った人の感想を参考に選ぶといいでしょう。
また、うっかりフォーマットしてしまったときでもあきらめてはいけません。フォーマットしただけであれば、データを吸い出せる可能性は残っています。この場合は、ファイルの痕跡を辿れる高性能なソフトを使うといいでしょう。ただし、フォーマットしたあとに新たにファイルを書き込んでしまった場合は、復旧が難しくなります。自分の手に負えないと感じたときは、専門の業者に相談してみるのもひとつの方法です。
下記のような症状が出ている場合は、相談前に一度記載された内容を試してみてください。
ディスクへの書き込みが禁止になっている
フォーマットを実行しようとした際、「ディスクは書き込み禁止になっています。」というメッセージが表示された経験のある方もおられるかと思います。原因はさまざまですが、主にこれらの原因が考えられます。
- 書き込み禁止スイッチがONになっている
- パソコン側の設定で禁止されている
- 他の周辺機器による影響
多いのはUSBメモリが書き込み禁止設定になっている場合です。こちらはUSBメモリにスイッチがついていることが多く、ONになっていればOFFにしてみてください。また、会社のパソコンなどの場合はパソコン側でUSBメモリなどのリムーバブルメディアへの書き込みを制限している場合がありますが、この場合は情報システム部などの社内機器を管理している部門に相談してみましょう。周辺機器が書き込みを阻害している場合もあるため、USBメモリ以外の周辺機器を外してから試してみてください。
USBメモリに書き込んだファイルが読み込めない
エクスプローラーでフォルダとファイルは表示されるなど、パソコン側ではUSBメモリは参照できているが、エクセルファイルや動画、exeファイルなどをダブルクリックしても開けないといった症状に見舞われる場合もあります。
Windows 10の機能として、FATファイルシステム向けの暗号化ファイルシステムがあります。それよりも以前のWindows OSから、ファイルを暗号化するEFSという機能があったもののNTFS上でしか使えない機能でFATには対応していませんでした。それがWindows 10からはFAT上でも使えるようになったため、USBメモリ内にあるデータが勝手に暗号化されてしまうことがあります。この場合、コピー元のパソコンでは正常に開くことができても、他のパソコンでは開くことができなくなります。
基本的に、コピー元のパソコンでしか暗号化を解除することができないため、下記の操作手順で解除を行ってください。
暗号化を解除する手順 |
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データのバックアップをとっておこう
USBメモリにエラーが起こっても、データを救い出せる可能性はあります。大切なデータをあきらめる前に、これまでに紹介した方法を試みてみましょう。しかし、どれだけ高性能な復旧ソフトを使っても、専門業者に依頼しても、100%復旧できるという保証はありません。精密機器である以上、ささいなことからデータが消失してしまうことは十分に考えられます。こういったデータ消失のリスクを回避するためには、バックアップをとっておくことが何よりも重要です。
USBメモリは接続しっぱなしのHDDとは違い、抜き差しを繰り返す機器です。そのぶん接触部分に問題が起きたり、ファイルが破損したりする可能性が高くなってしまいます。また、小型で携帯性が高いため、持ち運んだり移動させたりする機会も多いでしょう。故障のほか、携帯しているうちに紛失してしまうリスクもあります。大切なデータをUSBメモリだけに保存することはやめ、日ごろからHDDやオンラインストレージにバックアップをとるようにしておきましょう。
いざという時のために日頃からデータのバックアップを取っておくのがおすすめですが、プロに依頼すると万全のバックアップ体制をつくることができます。
PCホスピタルに大切なデータのバックアップを依頼する場合はこちら
USBをフォーマットするには
内部のデータのバックアップがすでにとってあるなど、USBメモリ内のデータを抜き出す必要がなければ、エラーを解消するためにフォーマットを行います。ここでは、Windowsでフォーマットする手順について説明していきます。フォーマットすること自体は初心者でも難しくありません。
Windowsでフォーマットする手順 |
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フォーマットウィンドウに表示される項目については、項目ごとに詳しく解説していきます。
ボリュームラベル
「ボリュームラベル」とは、その記憶媒体の名前です。変更する必要がなければ、そのままで問題ありません。「会社用」など、好きな名前をつけたいときにだけ入力しましょう。ただし、使える文字の種類や文字数はファイルシステムによって異なります。フォーマットしたときに「このボリュームラベルは無効です」などの表示が出る場合は、ボリュームラベルの文字数が多すぎるか、使えない文字が入っているかのどちらかです。故障ではありませんので、あわてずに別の名前をつけるなどして対応しましょう。
ファイルシステム
ファイルシステムとはこの記事で紹介したとおり、記憶媒体の中にあるファイルを管理するためのシステムのことです。主に、下記のものがあります。
- FAT32
- NTFS
- exFAT
ファイルシステムは、基本的に変更する必要はありません。変更は任意ですが、規定のものをそのまま選択しておきましょう。ただし、ファイルシステムが「FAT32」の場合、1ファイルの容量は4GBまでという制限があり、単体で4GBを超えるファイルは保存できません。USBメモリに4GBを超えるファイルをコピーしたいときは、1ファイル当たりの容量に制限のない「NTFS」でフォーマットする必要があります。ちなみに、「FAT32」と「exFAT」はMac OSでも利用可能です。「NTFS」にすると、Mac OSで読み込むことはできますが書き込みができません。USBメモリを使ってWindowsとMac間でデータをやりとりするときは、気をつけておきましょう。
セブンイレブンなど、コンビニに設置されている複合機にUSBメモリを接続して書類などをプリントアウトしたことがある方もおられるかと思います。しかし、USBメモリが認識されなかった場合もあるのではないでしょうか?複合機によって対応しているファイルシステムが異なるため、このようなことが起こります。セブンイレブンで使われている複合機では、NTFSに対応していない場合が多いため、セブンイレブンでUSBメモリが認識されなかった場合の簡単な対処法として、ファミリーマートやローソンなど他のコンビニの複合機を利用してみてください。
アロケーションユニットサイズ
アロケーションユニットサイズとは、保存のためにデータを分割する際に基準となるもっとも小さい単位のことです。この単位を小さく設定するほどデータ領域のムダを削減できますが、そのぶん分割回数が増えるため処理速度が犠牲になる可能性があります。この項目は、パソコンに詳しくないと最適な数値を導き出すのは困難です。そのため基本的に変更する必要はありません。
USBメモリのフォーマットをプロに任せるのも一つの対処法
前述の方法を行っても上手くフォーマットできない場合、システムエラーやファイルトラブルなど複数の原因が組み合わさってることも考えられます。
システムの復元や修復を行うことで改善できるかもしれませんが、失敗すればUSBメモリだけでなく、パソコン側に不具合が発生してしまうことも考えられます。
自力の改善が難しいとお考えの場合はUSBとパソコンを守るためにも、プロのパソコン修理業者のPCホスピタルにご依頼いただくことをおすすめいたします。
PCホスピタルはUSBメモリのフォーマット・初期化サポートが可能です
クイックフォーマットは、選択するとフォーマットの処理時間を大幅に短縮できます。通常のフォーマットとの違いは、不良セクタをチェックするかしないかです。不良セクタとはデータの読み出しや書き込みができない部分のことです。通常の使い方をするぶんには、不良セクタのチェックをしないクイックフォーマットで十分でしょう。ただ、厳密にフォーマットを行いたいときや、あきらかに不良セクタがある記憶媒体をフォーマットするときは、通常のフォーマットを選択しましょう。
修理対応 | 出張/持込/宅配(出張の当日サポートは予約枠が早く埋まるため、お急ぎの場合はなるべく早い時間にご依頼ください) |
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対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの修理実績を当サイト掲載中 |
料金 | パソコン修理 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得