パソコンが起動しない!メモリの抜き差しが有効なケースとその方法を紹介!
パソコンが起動しなくなったときの効果的な対処法のひとつとして、パソコン本体を開けてメモリ基板を抜き差しするというものがあります。しかし、起動できない症状にはさまざまな原因が考えられるため、どんな場合にでも有効な対処法というわけではありません。そこで、そのほかの方法も含め、パソコンが起動しなくなったときに試せる一連の対処法や注意点について紹介します。
パソコンが起動しないときに起こる症状
ひとくちに「パソコンが起動しない」といってもその症状はさまざまで、原因を正確に見極めるのは簡単なことではありません。パソコンが起動しなくなったときは、まずは電源そのものが入るかどうかの確認からはじめるとよいでしょう。電源ボタンを押しても電源ランプが点灯しない場合は、パソコンの内部に電力が供給できていない可能性があります。
電源ランプが点灯して、ファンも回っているにもかかわらず正常に起動しないというときは、起動のどの段階で処理が止まっているのかを観察しましょう。英語のみが並んだような画面から先へ進まない場合は、BIOSの段階で処理が止まっていると考えられます。そのあとWindowsのログイン画面やデスクトップ画面に切り替わるまでの間に止まる場合は、OSを開始する処理の途中から進まなくなっています。ディスプレイに何も表示されず、画面が真っ暗なままということもあるでしょう。このとき、HDDのアクセスを示すLEDランプが点滅しているようなら、画面が表示されていないだけで起動はできているという場合もあります。
ファンが回るのにパソコンが起動しない!考えられる原因は?
ファンが回っているのにパソコンが起動しないときは、どこに原因があるのでしょうか。ここでは、考えられる3つの原因について紹介します。
BIOSに問題がある
BIOSとは、パソコンに搭載されたもっとも基本的なプログラムの一種です。主に、OSとハードウェアとの間を取り持つような役割を果たしています。パソコンの電源を入れると、最初に立ち上がるのがBIOSです。このとき、BIOSに何らかの不具合があって処理が停止してしまうと、パソコンの起動に必要な残りの動作も止まってしまいます。すると、英語のみが並んだような画面から先へ進まないという症状になります。
BIOSを介してデータのやり取りを行うハードウェアは、パソコン本体だけではありません。外付けHDDやUSBメモリなどの記憶装置、ネットワーク機器や、そのほかの周辺機器も含まれます。そのため、周辺機器との接続がうまくできていないとBIOSの不具合につながることも少なくありません。最近接続した機器や故障が疑われる機器がある場合には、いったん取り外してからパソコンが起動できるかどうか試してみるとよいでしょう。しかし、使用中の周辺機器がたくさんあるときなど、原因になっている機器を特定するのが簡単ではないケースもあります。そのような場合には、キーボードやマウスなどの基本的な機器以外をすべて取り外した状態で試してみましょう。
HDDに問題がある
パソコンの電源を入れたあとにBIOSの起動が問題なくできた場合、次に起動するのはWindowsなどのOSです。OSの起動には、パソコンに内蔵されたHDDなどの記憶媒体に格納されたデータが使われます。このとき、HDDの不具合などで必要なデータが読み出せないと、正常な起動を行えず途中で止まってしまいます。
HDDが不具合を起こす主な原因は、パソコン本体を水で濡らしてしまったり、落下などの強い衝撃を加えてしまったりというようなものです。HDD内のデータが物理的に破損して、読み出せなくなってしまうのです。そのほかには、コンピューターウイルスに感染したことが原因でHDDがダメージを受けてしまったり、重要なファイルが消去されてしまったりというケースも考えられます。
メモリに問題がある
メモリは、HDDから読み出したプログラムや処理中のデータなどを一時的に保存しておくために必要な部品です。メモリに破損している箇所があると、パソコンは正常な起動や動作ができません。また、パソコン内部にたまったホコリなどによってメモリが接触不良を起こすこともあり、その場合も起動できないトラブルが発生しやすくなります。
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対処法1 放電する
電源ランプが点灯してファンも回るのにパソコンが起動しないという場合には、複数の対処法が考えられます。まずは、「放電」を試してみるとよいでしょう。放電とは、パソコンの内部にたまった静電気を取り除く作業のことです。通常であれば余計な静電気は自然に抜けていくのですが、何らかの理由によりたまってしまうこともあります。パソコンを起動できない原因が静電気であることは少なくないため、放電してみるというのは有効な対処法です。
放電の手順は、それほど難しいものではありません。最初に、パソコンの電源をオフにしましょう。ファンが止まり、電源ランプが消えたことを確認できたら電源ケーブルを抜きます。ノートパソコンの場合はACアダプターを抜き、バッテリーパックを取り外します。LANケーブルや周辺機器がつながっている場合は、これらもすべて取り外しておくとよいでしょう。この状態で10分ほど放置すれば放電完了です。電源ケーブル(ノートパソコンの場合はバッテリーパックとACアダプター)をもと通りにつなぎ、電源を入れて起動できるようになったかどうか確認してみましょう。
なお、バッテリーパックを着脱できない仕様のノートパソコンもあります。その場合は、無理に取り外す必要はありません。また、メーカーによっては放電の手順をサポートサイトなどで公開していることもあるので、念のため確認してみるとよいでしょう。
対処法2 メモリを抜き差しする
放電を行っても起動できるようにならない場合は、メモリの不具合かもしれません。メモリそのものが故障しているケースもありますが、接触不良の場合はメモリの基板を挿し直すことで問題を解消できる可能性があります。ここでは、デスクトップパソコンとノートパソコンでメモリを挿し直す手順と、作業を行う際の注意点について説明します。
デスクトップパソコンの場合
まず、パソコンの電源をオフにして電源コードを抜き、キーボードやマウス、LANケーブルやそのほかの周辺機器をすべて取り外します。次に、パソコン本体の側面パネルを開け、メモリの位置を確認します。側面パネルの開け方は機種によって異なるので、わからない場合は取扱説明書で確認しましょう。
メモリの基板は固定されていて、そのままでは取り外せません。通常はツメのようなものでロックされているので、ロックを解除してからまっすぐ引き抜くようにします。取り外すことができたら、そのまま元の位置にしっかりと挿し込んで取り付けます。最後に本体の側面パネルを閉じて電源ケーブルをつなぎ、キーボードやマウスなど起動に必要なものを接続して電源を入れてみましょう。
ノートパソコンの場合
ノートパソコンの場合は、パソコンの電源をオフにしてACアダプターを抜き、外付けのキーボードやマウス、LANケーブルやそのほかの周辺機器をすべて取り外します。可能な場合は、バッテリーパックも取り外しておきましょう。次に、パソコンを裏返してメモリカバーを開きます。メモリカバーには手でスライドすれば開くものや、ドライバーでネジを緩めて開けるものなどがあり、機種によって異なります。わからない場合は取扱説明書で確認しましょう。
デスクトップパソコンと同様、メモリの基板は固定されています。基板の側面にあるツメのような部分を広げるようにしてロックを解除し、まっすぐ引き抜きましょう。メモリを取り外すことができたら、そのまま元の位置に取り付け直します。最後にメモリカバーを閉じ、バッテリーパックとACアダプターを元どおりにして電源を入れてみましょう。
メモリが刺さっていないとどうなるか?
メモリが刺さっていなくても電源は入ります。しかし通電後はBIOSがメモリ上にOSのデータを展開していくのですが、メモリがなければ当然データの展開ができません。この場合はメモリのエラーを示すビープ音が鳴ることがあります。(接触不良など、部分的に接触できていない場合はOSは起動できませんがビープ音も鳴らないことがあります。)
メモリの抜き差しをする際の注意点
パソコンが起動できない原因がメモリの接触不良の場合は、メモリ基板の挿し直しが効果的ですが、パソコンの内部は精密部品の集まりだという点には注意が必要です。メモリやそのほかの部分を傷つけてしまうと故障の原因になるので、作業中は無理な力を加えないように気をつけましょう。また、電子部品は静電気によって故障してしまうこともあります。静電気が体にたまった状態でパソコンの内側に触れることが、故障の原因になることも少なくありません。作業をはじめる前には、木製の家具に触れたり、手を洗ったりして体から静電気を逃がしておくことをおすすめします。
メモリは、パソコンの部品のなかでも高価なものです。パソコンの内部には、故障したときに簡単には取り替えられない部品もあります。これまでに基板を取り付けた経験がない人や、作業に自信がないという人は、メモリの挿し直しは無理に行わないほうがよいかもしれません。
対処法3 パソコン内部をきれいにする
パソコンの内側には、意外にホコリがたまります。長年使ったパソコンの本体を開けてみると、ファンの周辺や基板の上にホコリがたくさん積もっているのを目にして驚くことがあるかもしれません。このような状態も、パソコンが起動できなくなってしまう原因のひとつです。例えば、ファンや排気孔にホコリがたまると排熱の効率が下がり、パソコン内の温度が高くなりすぎて熱暴走してしまうことがあります。また、メモリの接触不良も、小さなホコリが隙間に入り込んだために発生するケースがあります。
パソコンの内部をきれいに掃除すると、起動できない問題が解消するかもしれません。デスクトップパソコンなら側面パネルを開ければ内部が見えるので、掃除もしやすいでしょう。このとき、直接拭き取るのは故障の原因になるので、エアダスターを使うのがおすすめです。ファンの部分と内側全体に、それぞれ3秒くらいずつ空気を吹きかけます。ノートパソコンの場合は、カバーを開けるのは簡単ではありません。無理に開けようとせず、外側からファンの部分に3秒ほどエアダスターを吹きかけるとよいでしょう。
対処法4 CMOSクリアをしてみる
ここまでの方法を試してもパソコンが起動するようにならない場合には、「CMOSクリア」を行うとよいかもしれません。やや高度な対処法ですが、その方法と注意点について説明します。
CMOSクリアとは
パソコンのマザーボードには、非常に基本的な情報を記憶しておくための「CMOS」と呼ばれるメモリチップが搭載されています。ここに保存されるデータは機種ごとに異なりますが、BIOSの設定情報もCMOSに保存されるもののひとつです。CMOSは、パソコンが起動してから終了するまでのさまざまな動作に関連する、非常に重要な役割をもったチップだといえるでしょう。
「CMOSクリア」とは、CMOSに保存されている情報を初期化することです。パソコンが起動できない問題がBIOSに起因している場合は、CMOSクリアが有効な手段となります。例えば、パソコンのハードウェア構成が変わったあとや、BIOSのアップデートに失敗したあとなどにパソコンが起動しなくなったのなら、CMOSをクリアすれば起動できるようになる可能性があります。BIOSの設定変更にミスがあった場合も、CMOSクリアで設定が初期化されれば回復できるでしょう。
CMOSクリアをするときの注意点
CMOSクリアとは、具体的にはCMOSへの電力を一時的にシャットアウトする操作のことです。CMOSは揮発性メモリの一種なので、データをとどめておくために常にわずかな電力を必要とします。そのため、電力供給を止めれば、CMOS内のデータは初期化されるのです。
実際にCMOSへの電力供給を断つためには、マザーボードに取り付けられている電池を取り外したり、所定の端子を操作したりといった高度な作業が必要になります。パソコンのカバーを開けたうえで、マザーボードの種類に応じた適切な方法で行わなければならないため、専門的な知識が不可欠です。むやみに行うとかえって故障を増やしてしまうリスクもある難易度の高い作業なので、ハードウェアの取り扱いに慣れていない場合は無理に行わないほうがよいでしょう。
PCホスピタルにBIOSトラブルのサポートを依頼する場合はこちら。
パソコンのメモリトラブルをプロに任せるのも一つの対処法
パソコンが起動しなくなってしまった場合の対処法には、簡単にできるものと難易度の高いものがあります。静電気を放電させたり、ホコリを掃除したりするのは比較的簡単な対処法です。
しかし、メモリ基板やCMOSに関する作業となると、精密部品にうっかり傷をつけて故障が拡大してしまうリスクもあるため、難しいと感じる人も多いでしょう。また、HDDの不具合が原因で起動できなくなるケースもあります。この場合は、原因を探ろうとして電源のオン・オフを繰り返しているうちに状態が悪化してしまい、大切なデータを取り戻せなくなってしまうということも考えられます。
パソコントラブルへの対応に慣れていない場合や、HDDの中に失いたくない大切なデータが入っている場合は、プロのパソコン修理業者のPCホスピタルにご依頼いただくことをおすすめいたします。
PCホスピタルはメモリ抜き差しで改善しないトラブルのサポートが可能です
パソコンが起動しなくなったときは、メモリを抜き差しすれば復旧できるかもしれません。しかし、原因によってはより難易度の高い作業も必要になります。自分だけで対処するのが難しいと感じたら、プロに依頼するのが安心でしょう。
メモリの抜き差しで解決しないときはぜひPCホスピタルに修理をご依頼ください。
修理対応 | 出張/持込/宅配 |
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対応エリア | 出張修理は全国47都道府県/持込修理は全国15店舗/宅配修理は全国47都道府県 |
実績 | 年間約10万件サポートの実績。様々なメーカー製パソコンの修理実績を当サイト掲載中 |
料金 | パソコン修理 3,300円~ + 基本料金 8,800円~11,000円 |
濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得