自力での修復は可能?ハードディスクの不具合の特徴や復旧方法を解説

ハードディスクの復旧を専門業者へ依頼すると費用がかかるため、自力で復旧させようする人も多いのではないでしょうか。しかし、どうすれば復旧できるのか、かえって壊してしまうのではないかと不安になる場合もありますよね。この記事ではWindowsが搭載されているパソコンにおいて、ハードディスクの主な不具合パターンや、復旧する方法を紹介します。
1.最初にハードディスク以外の不調を考えよう
まずは本当にハードディスクに障害が起きているのかを確認します。実は別の原因で不具合が起きていたというケースもあるため、これから紹介する手順を試してみましょう。
1-2.別のパソコンに繋いでみる
ハードディスクが故障しているのか、それとも別の原因があるのかを切り分けるため、ハードディスクを別のパソコンにつないでみるのも一つの手段です。パソコン内にあるハードディスクは、取り出してUSB変換ケーブル等を用いて別のパソコンに接続できます。もし、正常にハードディスクを認識するようであれば、メインボードや接続ケーブルに異常があるかもしれません。ただし、ハードディスクに異常が無いとは完全には言い切れないため、別のパソコンに接続できた時点で、バックアップを取得しておくとよいでしょう。
外付けハードディスクの場合、パソコン側か外付けハードディスク側のUSBポートが壊れている可能性もあります。そのため別のパソコンを接続してみたり、外付けハードディスクからディスクを取り出してパソコンに接続してみたりして切り分けることも効果的です。
2.ハードディスクの不具合の種類
ハードディスクの不具合は、大きく分けて物理障害と論理障害の2種類があります。ここではそれぞれについて説明します。
2-1.物理障害
物理障害とは、ハード機器の破損が原因で起きる障害のことです。ハードディスクそのものが破損していることや、その周辺で使用されているモーター部分、磁気ヘッド、プラッターなどが物理的に壊れていることで、正常にディスクが作動しないことがあります。外部から強い衝撃を受けたことによる機器の破損や、経年劣化が主な原因です。物理障害はそのまま使用していると症状を悪化させる可能性が高いため、物理障害であると判断できたのであれば、早めに部品交換や修理することが望ましいでしょう。
2-2.論理障害
論理障害とはシステム上のエラーや、データのエラーで引き起こされる障害のことです。誤ってデータを削除したり、初期化してしまったりすることも含まれます。OSを再インストールしたことや、保存しているデータに不具合が発生する場合、ウィルス感染でシステムが正常に動作しなくなることも論理障害に該当。物理的に破損しているわけではないため、データ復旧ソフトやバックアップソフトを利用して、自力で復旧できる可能性があります。たとえば、Windowsの復元ポイントを作成している場合は、誤ってファイルを削除しても復元ポイント作成時点にデータを戻せます。
しかし、不具合の原因によってはデータの復旧が難しい場合もあるため、自力での復旧が厳しいと判断した場合は専門業者に依頼をしてください。
3.物理障害が疑われるケース
物理障害の場合は、症状を悪化させないためにもすぐに利用を停止することが望ましいでしょう。しかし物理的な破損は目に見えないため、正確に判断することは困難です。ここでは物理障害の可能性が高い事象を説明します。

3-1.BIOS画面でハードディスクが認識されない
パソコンを起動したときにBIOSがハードディスクを認識しないエラーが起きることがよくあります。その場合、物理障害の可能性が高いでしょう。BIOSとはパソコンに接続されたキーボードやマウス、ハードディスクなどの各機器を制御、管理するシステムであり、どのパソコンにも備わっている重要なプログラムです。BIOSの画面はほとんどの場合、パソコン起動時にファンクションキーを押すことで呼び出せますが、メーカー毎に起動方法が異なるため各メーカーのサイトやマニュアルを参照してください。
1-1.配線を繋ぎ直してみる
動作しない対象が内蔵ディスクである場合、電源を切ってからパソコンのカバーをはずしてハードディスクドライブを取り出します。そこでハードディスクドライブとメインボードを接続しているケーブルに注目。配線が緩んでいたり、接触が悪かったりすると正常に動作しない場合があります。対処方法として、ケーブルをいったん外し、エアダスターなどで接触部分を掃除してからつなぎ直します。ディスクが外付けハードディスクの場合は、USBケーブルに原因がないかを疑いしましょう。USBケーブルが破損していると正しく読み込めないため、別のUSBケーブルに取り替えて再度状況を確認してください。
BIOSで認識されたハードディスクの名前や容量が表示される場合は、ハードディスクがパソコンにきちんと認識されていると判断できるため、別のパソコンに接続してバックアップを取得するとよいでしょう。認識されていない場合は物理障害である可能性が高いため、症状を悪化させないためにもすぐに使用を停止します。
3-2.異音がする
パソコンを動作させているときに異音がする場合は、物理障害の可能性があります。カチッと動くような音が連続して聞こえる場合は、ヘッドクラッシュを起こしていることも。ディスクが回る音や電子的な音が連続的に発生する場合もヘッドクラッシュが疑われます。パソコンを起動してすぐに電源が落ちる場合は、ディスク部分に傷などの損傷がある可能性が高く、復旧することは難しいでしょう。これらの事象が発生すれば物理障害の可能性が高いため、症状が悪化しないようすぐに電源を切ってください。
3-3.異臭がする
異臭がする場合は、どこか部品がショートしたり、チップが焼けたりしている可能性があります。特に火花が散るような音がした後に焦げた臭いがしたら、すぐに使用を停止します。そのまま使い続けると火災の恐れもあるため、電源を切って部屋を換気してください。知識があれば、どこが故障したのかを探るためにパソコンのカバーを開き、焦げや溶解している箇所を目視して確認することも有効です。
3-4.落下や水濡れがあった
不具合が起きる前にパソコンを落としたり、強い衝撃を受けたりした場合は物理障害が起きている可能性が高いといえます。災害などで水没したり、湿気が多いところに保管していたりする場合も物理障害を疑ったほうがよいでしょう。特にディスクを読み書きしている最中に衝撃が加わると、ヘッドとプラッターが接触して両方が破損している可能性が疑われます。海で水没したのであれば、砂や海水の塩分がハードディスクに入り込んでいることもあり、起動すると機器に損傷を与えてしまうこともあるため注意が必要です。
コップの水をこぼしてパソコンに浸水させてしまった場合は、電源を入れるとショートする恐れがあるため、ハードディスクを抜き取り十分に乾かした後、別のパソコンに接続してデータをバックアップしましょう。少しでも落下や水没が原因と疑われる場合は、電源を入れないでください。
4.物理障害からの復旧は業者への依頼が望ましい

物理障害の復旧には部品交換が必要になります。交換には部品の選定や取り付けなどの技術的な知識、スキルが必要になるため自力で復旧作業をすることは困難です。無理に修理してかえって他の箇所に影響を与えてしまう恐れもあるため、専門業者へ修理を依頼したほうが無難でしょう。専門業者へ依頼する場合、業者選びの目安を説明します。たとえば、物理障害の復旧が苦手な業者もいるため、ホームページなどで実績や対応可否は確認しましょう。ほこりが発生しないようなクリーンルームを自社に設置している業者は、復旧業務に投資をしている証拠なので信頼性を確認する目安になります。
5.論理障害の主な症状
論理障害にはいくつかの症状があります。その症状と解決策を理解できれば、自力で復旧できるかもしれません。ここでは論理障害の可能性が高い症状を説明します。
5-1.何らかの理由でデータにアクセスできない
ハードディスクにアクセスできない事象が発生している場合、「ディスクがフォーマットされていない」「巡回冗長検査エラー(CRCエラー)が発生した」といったメッセージが表示されることが多いでしょう。ここで、「フォーマットをするか」といったメッセージが表示された場合は要注意です。フォーマットしてしまうと、ディスクに保存していたデータが全て消えてしまうため、そのまま安易に進めないようにします。外付けハードディスクを使用している場合は、保存されているデータがRAW状態であるため、アクセスできないことがあります。
RAWとは、フォーマットされていないデータのことです。たとえば、デジタルカメラで撮った写真データなどは、RAWのまま保存されることもあるため、注意が必要です。どの症状もディスクチェックやデータ復旧ソフトを利用することで改善されることがあります。自力で回復できる可能性もありますが、わからないまま状況を悪化させてしまう前に、専門業者へ依頼することも手段の一つです。
5-2.パーティションに不具合が見られる
テラ単位などの容量が大きいハードディスクを接続すると、内部データが未割り当て領域に認識されて正常に動作しないことがあります。また、いくつかのパーティションに分けていて、パーティションを誤って削除した場合も未使用領域が発生します。未使用領域はパソコンで認識できないため、データが上書きされることはあまり考えられません。よって、新たにパーティションを追記したり、フォーマットしなおしたりしなければ、復旧ソフトで回復できる可能性は高くなります。
5-3.フォーマットやリカバリーの実行
誤ってフォーマットしてしまったり、リカバリーをしてしまったりする場合も、論理障害の一つと捉えられます。必要なファイルやフォルダをうっかり削除してしまった場合も同様です。誤ってデータを削除しても、データ完全削除ソフトなどを使用しない限りは、消したデータはパソコン上に残っています。しかし、リカバリーを実行すると既存データが上書きされるため、復旧できる可能性は低くなります。誤操作によるデータの紛失はすぐにパソコンの電源を切り、ハードディスクを取り出して別のパソコンでデータ復旧ソフトを使用する方法が望ましいでしょう。
6.論理障害を自力で復旧する方法
論理障害にはいくつかの復旧方法があります。これから紹介する回復方法を順に試してみて、どうしても回復できない場合はハードディスクの再フォーマットを実行してみましょう。
6-1.ディスクチェックと自動修復を試みる
まずはディスクチェックで自動回復を試みます。Windowsにはハードディスクのエラーをチェックして、自動で回復する機能が備わっています。操作方法は次の通りです。まず、実行中のシステムやプログラムを全て終了させます。次に、エクスプローラーを起動し、「PC」をクリックします。ディスクドライブが表示されるため、動作が不安定なディスクドライブを右クリックし、プロパティを選択。「ツール」タブをクリックし、エラーチェックの「チェックする」をクリックします。パスワードを問われた場合は、管理者ユーザーのパスワードを入力してください。最後に、「ファイルシステムエラーを自動的に修復する」を選択してから開始すると、自動的にエラーや不具合を修復します。
6-2.データ復旧ソフトを使用する
データ復旧ソフトを利用すれば、あらゆる論理障害からデータを回復できる可能性があります。しかし、復旧精度はあまり高くありません。ほとんどのデータ復旧ソフトは、ファイルサイズが大きい動画や音楽ファイルの復旧が苦手です。外付けハードディスクへの対応も得意ではなく、対応できるソフトは多くありません。さらに、データ復旧ソフトにはデータ削除ツールや上書きツールが付属されていることがありますが、これらを誤って使用すると復旧ができなくなってしまいます。
データを復旧させたいパソコンで復旧方法などを調べたり、そのまま使用し続けていたりすると、復旧対象データを上書きしてしまうことも。できる限り、別のパソコンに復旧対象のハードディスクを接続したうえで、データ復旧ソフトを使用してください。
6-3.ハードディスクをフォーマットする
ハードディスクのフォーマットを実行すると、論理障害が起きたものでも元の状態に復元でき、再利用が可能です。データのバックアップができているのであれば、思い切ってフォーマットすることも手段の一つ。ただし、フォーマットされたデータは復元できないため、バックアップが無いのであれば、専門業者に修理を依頼することも検討してください。
論理障害の場合は自力でハードディスクの復旧を試みてみよう
ハードディスクの障害には、大きく分けて物理障害と論理障害があります。論理障害の場合は自力で回復できる可能性があるため、紹介した内容を参考にしたうえで修復を実施してみましょう。しかし、自力で復旧を試みて症状が悪化するケースもあるため、あくまでも自己責任で行ってください。ドクター・ホームネットは全国展開しているため利用しやすく、年中無休です。大切なデータが入ったパソコンのトラブルの場合はプロに任せてみてはいかがでしょうか。