通信距離・速度が異なる?ZigBeeとBluetoothの違い

スマートフォンやタブレットはBluetoothに対応しているため、周辺機器をBluetooth接続して利用する方が少なくありません。そのため、短距離の無線通信規格といえば、「Bluetooth」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は、Bluetoothの他にZigBeeという無線通信規格も一部では使用されています。ZigBeeとBluetoothでは、通信距離と速度が異なります。
今回は、ZigBeeの概要やZigBeeとBluetoothの違いについてご紹介します。
短距離通信規格「ZigBee」とは?
ZigBee(ジグビー)とは、短距離無線通信規格の1つとして、2004年に標準化団体「ZigBee Alliance」により策定されました。ZigBeeという名前は、ミツバチ(bee)がジグザグに動いて(zig)、蜜のありかについて情報交換をするように、ネットワークに接続された端末同士が連携することに由来します。
無線通信規格としてはBluetoothやWi-Fiが有名ですが、ZigBeeもさまざまな機器に採用されています。なお、基礎的な部分はIEEE 802.15.4で規格化されています。
以下はZigBeeの具体的な仕様です。
規格:IEEE 802.15.4
消費電力:低い
通信速度:20k~250kbps
通信距離:~約30m
ZigBeeの通信は都度スリープを解除して行われます。通信後は、再度スリープ状態に戻る仕組みです。また、1つのネットワークに最大で65,535端末(ネットワークの中心を構成するZigBeeを含めると65,536端末)に接続できる点も特徴といえます。
IoT(モノのインターネット)普及に伴い、短距離間を高速、かつ省電力で通信できる技術が求められるようになりました。一般的な端末に搭載されている無線通信技術としてはBluetoothが広く採用されていますが、端末によってはZigBeeが活用されることもあります。
ZigBeeとBluetoothの違い

上述したようにZigBeeとBluetoothは要求されるスペックの違いから使い分けられています。
両者の間には具体的にどういった違いがあるのでしょうか。実際には、お互いがお互いのデメリットを補完するようなスペックになっているようです。
通信速度の違い
通信速度については、Bluetoothが勝ります。Bluetoothのバージョンアップは比較的頻繁に行われており、そのたび通信速度は向上しているため、この開きは今後さらに大きくなる可能性があります。
通信距離の違い
Bluetoothで最も電波強度が強いClass1では、約100mの通信距離(Bluetooth 5の場合、通信速度を落として通信距離を4倍にのばすことが可能)が想定されています。一方、上述したとおりZigBeeの通信距離は約30mです。
消費電力の違い
ZigBeeの長所は、Bluetoothよりも消費電力が少ない点です。実際には、どちらも同じ周波数帯を利用しているため、単に通信時の消費電力のみに注目すると大きな違いはありません。消費電力の違いを生んでいるのは、スリープ時の待機電力とスリープ解除からデータ送信までの時間です。
ZigBeeがスリープしているときの待機電力はBluetoothの待機電力よりも少なく、スリープ解除からデータ送信までの時間も非常に短いので、常にスリープモードや電力OFFにしておくことができます。
そのため、一時的に通信を行い、その後はしばらく再度スリープするような場合は、ZigBeeの省電力性が生かされます。ただし、ZigBeeは画像やファイルといった大容量データのやりとりには向いていません。
なお、近年はBluetoothの待機電力を省エネ化した「BLE(Bluetooth Low Energy)」という新しい規格も登場しています。
同時接続台数の違い
ZigBeeは複数デバイスの同時接続が得意な通信規格です。1つのネットワークにつき、最大65,535台という、ほぼ無数ともいえる同時接続ができます。各デバイスへの個別通信や、デバイスからのデータ受信も問題ありません。一方、Bluetoothの同時接続可能台数は7台に限定されています。
どんな機器で使用される?ZigBeeとBluetoothの活用例
ここまでZigBeeとBluetoothのスペックについてご説明してきました。実際にどんな活用例があるのかを知ると、双方の通信規格の違いをイメージしやすくなるかもしれません。
ZigBeeとBluetoothの活用例をご紹介します。
ZigBeeの活用例
ZigBeeに対応した製品の数はそれほど多くありませんが、ZigBee対応のスマートスピーカーやスマート電球があります。スマート電球には照明コントロール用の国際規格「ZigBee Light Link」が採用され、スマートスピーカーから音声操作が可能です。
テレビやエアコンといった家電は電源をオン・オフする機会が限られているため、今後は省エネ性に優れたZigBeeに対応する製品が増えるでしょう。
Bluetoothの活用例

Bluetoothはバージョンを追うごとに通信速度や安定性、通信距離などが進歩しています。上述したBLEの登場により省電力性も向上しています。活用されている端末は、今後さらなる広がりを見せるかもしれません。
現状としては、以下のような機器に活用されています。
マウス/キーボード
パソコンとの通信を絶え間なく行うマウスとキーボードはBluetooth活用機器の代表例です。Bluetoothのキーボードは、素早いタイピングでもほとんどタイムラグを感じることなく使用できます。Bluetoothのマウスもケーブルによるストレスから開放されるため、非常に便利です。最近は、これらの機器をタブレットPCに接続して使用されることがあります。
スマートウォッチ
IoTの代表格であるスマートウォッチにも、Bluetoothが採用されています。活動量のデータをスマートフォンに送信するフィットネストラッカーとして使う場合は、リアルタイムの通信がスピーディーに行えるBluetoothの利点が生きてきます。
イヤホン/ヘッドホン
音楽データは高音質になるほど容量が大きくなり、無線通信にも相応の通信速度が必要です。イヤホンやヘッドホンの無線通信規格としてBluetoothは中心的な存在になっており、その信頼度はバージョンを追うごとに高まっています。
無線機器の購入時は無線通信規格に注目
今回は、ZigBeeとBluetoothの違いについてご紹介しました。2つの無線通信規格について理解を深めていただけたのではないでしょうか。
頻繁にデータ通信を行う場合は高速通信が可能なBluetooth、待機時間が長い場合は省電力のZigBeeという選択肢が考えられそうです。今後、ZigBee対応機器が増えていくことが望まれます。無線機器を購入する際は、無線通信規格についても注目してみましょう。
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濱﨑 慎一(日本PCサービス株式会社 常務取締役 兼 NPO法人 IT整備士協会 理事)
2010年8月、日本PCサービス株式会社に入社。パソコン修理などデジタルトラブルを5年で4500件以上解決。その後、サポート人材育成など、事業責任者として、個人向けデジタルトラブル解決に8年半携わる。2019年より同社にて、法人向けサポートの取締役に就任。また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として業界活性化のため正しいデジタル知識の普及、スマートフォンなどの新しい整備士資格の構築に携わる。
保有資格 パソコン整備士検定 取得