LANケーブルの選び方を通信速度、種類、長さの面から解説

目次
パソコンでインターネットを利用するためには、パソコンをネットワークにつなげる必要があります。ネットワークにつなげるためには、モデムや光回線終端装置、ルーターといった機器とパソコンが、データ通信できるようにしなければなりません。そこで必要になるものが「LANケーブル」と呼ばれるケーブルです。
LANケーブルとは
LANケーブルとは、インターネット回線の通信データをやり取りするためのケーブルです。パソコンやゲーム機をインターネットに有線で接続する際に使用されています。Wi-Fiを活用した無線でインターネットを使っている方が多いと思いますが、Wi-Fiは電波の強度や接続できる範囲に気を付ける必要がある一方、優先接続の場合には比較的安定して高速で利用できることから、機器や利用シーンに応じて有線接続(LANケーブルで接続)の方が適していることがあります。
また、モデムからルーターやルーターからWi-Fiルーターへの接続などにも使用されています。
LANケーブルの選び方
インターネットを利用する上で欠かせないLANケーブルには、さまざまな種類があります。専門業者に設置してもらったLANケーブルや、パソコンやルーターに付属されていたLANケーブルをそのまま使用している方も多いのではないでしょうか。
LANケーブルの選び方をよく知り、自分のネット環境に合ったものを適切に使用すれば、LANケーブルを変えるだけで、今よりもさらに快適な通信ができるようになります。
LANケーブルの通信速度
LANケーブルの選び方において、一番のポイントになるのは通信速度です。
LANケーブルは、どれも同じように見えますが、「カテゴリ(CAT)」という規格が設けられており、それぞれ通信速度と伝送帯域が決められています。
通信速度とは、データをどのくらいの速さで転送できるかを定めたものです。なお、伝送帯域は一度に送れるデータの量を定めたものとなります。伝送帯域は、よく水道の蛇口に例えられ、蛇口(伝送帯域)が太ければ太いほど、一度に出る水の量(データ量)が大きくなるのです。
LANケーブルの主な規格の種類

LANケーブルの主な規格は、1~7Aまでありますが、現在流通しているものは5~8です。
それぞれ以下のような特徴を持っています。
- CAT5 通信速度:100Mbps 伝送帯域:100MHz
- CAT5e 通信速度:1Gbps 伝送帯域:100MHz
- CAT6 通信速度:1Gbps 伝送帯域:250MHz
- CAT6A 通信速度:10Gbps 伝送帯域:500MHz
- CAT7 通信速度:10Gbps 伝送帯域:600MHz
- CAT7A 通信速度:10Gbps 伝送帯域:1000MHz
- CAT8 通信速度:40Gbps 伝送帯域:2000MHz
一般的には、規格の数字が大きいほど性能の良いLANケーブルです。数字の後ろにアルファベットがついているものは、ついていないものよりも性能が高くなります。例えば、CAT6AはCAT6の改良版といえるでしょう。
自分のパソコンが対応する最大通信速度や、契約している回線の速度を調べ、それらに対応できるLANケーブルを選びます。調べてもよく分からないという場合は、数字の大きいものがおすすめです。LANケーブルは下位互換があるため、LANケーブルの通信速度性能を下回る分には問題ないといえます。
CAT5はもうあまり販売されていないため、CAT6、CAT6A、CAT7、CAT8の中から選ぶことになります。
規格上は上位のケーブルの方が高速です。しかし実際に家庭で契約できるインターネットのプロバイダーは早くても1Gbpsや2Gbpsにしかならず、それも理論上の最高速度のことを指しています。実際、2Gbpsのプロバイダーを利用していてCAT6、CAT6A、CAT7、CAT8のどれを使用しても通信速度はほぼかわりません。
通常利用jの場合には、基本的にはCAT6を選ぶのがおすすめです。
LANケーブルの長さについて
LANケーブルは短いもので1m以下、長いものになると100m近くになるものまであります。
長ければ速度が落ちますが、実際の使用にはほとんど落ちません。体感できる差もありません。そのためLANケーブルは長めのものを購入しておけばよいと考えてしまいますが、ケーブル自体が太く取り回しが良くないことが多いので、適切な長さのケーブルを選ぶことをおすすめします。
オフィスや工場など100mでは足りない場合には延長させるための機器を間に挟んで使用します。
LANケーブルを種類で選ぶ

LANケーブルには、さまざまな種類があります。ここでは代表的なLANケーブルの種類についてご紹介します。
フラットLANケーブル
フラットLANケーブルは、ケーブルが平たい形状をしているLANケーブルです。厚さが1.5mm程度しかないため、床とじゅうたんの間にはわせて配線したいときや、狭い隙間に通したいときに便利なLANケーブルになります。
配線やレイアウトの面で便利な種類ですが、スタンダードなLANケーブルと比較して、ノイズ耐性や強度の面で劣る可能性があります。
極細LANケーブル
極細LANケーブルは、スタンダードなLANケーブルよりも細い形状をしています。ケーブル自体も柔らかく曲げやすいため、取り回しが良いことが特徴です。また、フラットLANケーブルと同様、配線やレイアウトの面で優れていますが、ノイズ耐性や強度の面ではスタンダードなLANケーブルに劣ります。
携帯用巻き取り型LANケーブル
携帯用巻き取り型LANケーブルは、持ち運びに便利な携帯型のLANケーブルです。LANケーブルが自動で巻き取れる仕様のため、コンパクトなサイズになります。LANケーブル自体の長さが、1m程度のものが多いことが特徴です。
クロスLANケーブル
クロスLANケーブルは、2台のパソコンなど、同一の機器を接続するときに用いられるLANケーブルです。現在では、クロスLANケーブルを使用する機会はほとんどありません。少し前までは、LANを接続する、ポートの構造上の問題で、一般的なストレートLANケーブルではなく、クロスLANケーブルが必要でした。技術の進歩が進んだ今では、ストレートLANケーブルでも問題なく接続できるようになったのです。
PoEケーブル
1本のケーブルでアクセスポイントへの電力供給と通信ができるケーブルをPoE対応ケーブルと呼びます。例えば天井裏や倉庫などの電源の確保が難しい場所でPoE対応の無線LANを使用すれば、別途の電源不要で動かせられます。電源工事をするなどよりも簡単に通信環境を作ることができます。
LANケーブルの構造
LANケーブルには「単線」と「より線」という2つの構造があります。
ここでは、それぞれの構造についてご紹介します。
単線
単線は、太い1本の銅線で作られているLANケーブルのことです。ノイズ耐性が高く、安定した通信ができるという特徴がありますが、硬くて取り回しが難しい面もあります。15m~20m以上の長距離でLANケーブルを使用したい場合は、こちらの単線が適しているでしょう。
より線
より線は、7本の細い銅線で作られているLANケーブルです。単線と比較して柔らかく、取り回ししやすいことが特徴ですが、単線よりもノイズの影響を受けやすいというデメリットを持ちます。そのため、長距離での利用にはあまり向いていません。15m~20m未満の短距離での使用を考えている場合は、より線が適しているといえます。
シールド加工が施されたLANケーブルについて
LANケーブルには、「シールド」という加工が施されたものがありますが、シールド加工によりノイズへの耐性が高くなります。シールド加工がされているLANケーブルを「STP」、シールド加工されていないLANケーブルが「UTP」です。また、「STP」よりも強固にシールド加工した「ScTP」と呼ばれるLANケーブルも存在します。
シールド加工が施されている「STP」や「ScTP」のほうが、一見優れているように思えますが、一般家庭ではシールド加工が必要なほど、強いノイズにさらされることはほとんどありません。そのため、「UTP」のLANケーブルを選ぶほうが無難と考えられます。「STP」や「ScTP」は、工場などの特殊な環境下で用いられることが多いケーブルと覚えておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、LANケーブルの通信速度や種類、長さについてご紹介しました。
LANケーブルには、性能や形状などさまざまな特徴があります。そのため、今の自分の通信環境をしっかり把握し、自分に適した種類のLANケーブルを選択しましょう。
なお、最近では「無線LAN」といって、ケーブルを必要としないタイプも普及してきています。また、電波の届く範囲であればパソコンを自由に持ち運ぶことができるため、多くの方に人気があります。
LANケーブルはまさに適材適所という言葉があう製品です。
通信速度が遅い、今使用しているLANケーブルが長すぎて邪魔になっている、LANの配線が複雑に絡みあっていて改善したい、などのお悩みがある方は、ぜひ一度自分のLAN環境を見直してはいかがでしょうか。
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